2014/01/08 by jixin

【pal*system】「ただただ“誠実”にして 商品作りを追い求めたい」

共生食品株式会社代表取締役三澤孝道さん

今から約30年前、消泡剤(※1)を使わず、国産大豆とにがりだけで作った、当時画期的な豆腐が生まれました。それは今も「パルシステムの豆腐」として受け継がれています。その産みの親である三澤孝道さんに、日本の大豆のこれからについて伺いました。

 

大豆 小さき粒につまった、食と農の夢

 20140107-02

 

 

 

 

写真:パルシステムの協力企業で組織する「パルシステム協力会」の会長も務める三澤孝道さん。

 

「大豆会議」で得たつながり

 

大豆の国内自給率は6%と低く、「TPPの交渉参加問題もあり、国産大豆を取り巻く状況は厳しい」と三澤社長は危機感をまず口にします。

今は、後継者問題にしろ、食の安全・安心にしろ、大豆単体ではなく、地域の視点で農業全体を捉える必要性を感じます。はっきりしているのは、米や野菜に比べると、国産大豆は圧倒的に少ないです。

そうした状況のなか、私は正直、消費者の皆さんに、違和感を覚えることがあります。なんとなく他人事というか、「農家を守るために食べる」と感じることがあるのです。「日本の大豆を食べて、大豆を育てる日本の農家を支えたい」というのは、間違いではありませんが、それだけで終わることでもありません。食と農の問題は、自分たちの生活そのものの問題であり、子どもや孫の世代にまで関わる話なんです。

一方で我々メーカーにも、責任があり、やれることはあります。ひとつは、「メーカーと生産者」とのつながりで、昨年からパルシステムの商品部、生産者、問屋、弊社で「大豆会議」を始めました。北海道、東北、九州など、全国の大豆の生産者が一同に会し、情報交換をしたんです。個々の生産者にとってはライバル同士ですが、それが逆にいい刺激となり、今年3月には北海道音更町で第2回を開きます。

大豆は品種や産地の風土など、それぞれ個性があります。それをうまく組み合わせるのが、我々加工メーカーの役割であり、「いい大豆を育てよう」という産地の盛り上がりにつながると考えています。

20140107-03

 

 

 

 

 

写真:共生食品の契約産地のひとつ、北海道音更町の大豆畑。

 20140107-04

 

 

 

 

写真:共生食品が製造するパルシステムの『もめん豆腐』。原料は非遺伝子組換えの産直国産大豆、にがり、水のみ。

 20140107-06

 

 

 

 

 

20140107-05

 

 

 

 

 

写真:共生食品の工場で研修を受ける、浜人の阿部さん(左)と西條さん(右)。阿部さんは、『のんびる』3月号の特集「芽吹く…」に登場。

 

 地域の中で大豆を育てる

 

 「大豆畑トラスト運動」やトージバのように、消費者と生産者がつながり、地域ぐるみで大豆を育てる取り組みも、「大豆を守る、いいきっかけになる」と三澤さんは言います。

消費者自らが作物を育て、収穫をする。そうしたやり方で、日本の農業を守っていけたらいいでしょうね。「大豆100粒運動」(※2)のような取り組みは、もっと広がればいいと思います。自分たちが食べるものを、自分たちで育てるという発想は、これからの時代、大事なことです。

ただ、農家の畑や耕作放棄地を借りる場合は、生産者の協力と理解がどうしても必要です。生産者に「うちの畑を使ってほしい」という気持ちにさせ、消費者との橋渡しをするような関係づくりは、パルシステムの得意とするところではないでしょうか。

神奈川では今、パルシステム神奈川ゆめコープ、神奈川中央養鶏、ジョイファーム小田原、納豆メーカーのカジノヤ、それに弊社などが連携し、組合員の方を巻き込んだ、循環型の食と農づくりを進めています。製造工程で出るおからを鶏の飼料にするなど、地域でまわしていくことで、地産地消でより顔の見える関係が築けます。

新潟県阿賀野町の豆腐工場(※3)建設に協力するなど、同社では、長年培ってきたノウハウを生かした支援にも積極的です。飯舘村の「味噌の里親プロジェクト」の味噌作り講習会を開いたり、石巻市の漁業生産組合浜人(※4)の若者を招き、衛生・品質管理の指導を行うなど、被災地の復興支援にも取り組んでいます。

浜人の方々には先日、弊社の工場で研修を受けてもらいましたが、お手伝いできることがあれば、できるだけ協力したいです。新潟への技術指導は、自分たちのできることで雇用の場をつくるなど、地方を元気にするための応援をしたいと考え、協力を決断しました。

こうした考えが持てたのは、協同組合の精神「一人は万人のために、万人は一人のために」でしょうね。30年前、国産大豆とにがりだけで豆腐を作ったら、うまく固まらず、欠品の嵐。それでも見捨てることなく、多くの組合員が応援してくれました。「納得できるものを一緒に作ろう!」という情熱を感じましたね。当時の生協の組合員は「仲間」であって、「お客様」ではなかった気がします。

今は、「いいものを作れば売れる」時代ではないかもしれません。でも、メーカーとして誠実でありさえすれば、消費者は見捨てないと信じています。メーカーの誠実さとは、「リアリティのある商品作り」です。「子や孫に、こういうものを食べさせたい」という母親の想いこそ、リアリティの原点です。

とはいえ、そのあたりのことは若い者にゆずり、これからは仕事を離れて、好きなことをやりたい(笑)。数年前からは、広葉樹の森(※5)を育て始めました。日本の農業をどうするのかという大きな課題に対して、これからは、生産者、メーカー、消費者の枠組みを超えて、若い人たちの柔軟な発想で考えていってもらいたいですね。

2013226日・共生食品本社にて)

20130107-07

 

 

 

 

写真:共生食品キッチンスタジオで開かれた「味噌の里親プロジェクト」の味噌作り講習会。

 

 20130107-08

 

 

 

 

写真:三澤さんが、共生食品の社員や地元の人たちと育てる広葉樹の森。森らしくなるまで20年はかかる。

 20130107-09

 

 

 

 

写真:共生食品では、品種や栄養成分の個性をいかしながら、全国各地の産直大豆を使っている。

 

(1)すりつぶした大豆を煮る時に生じる大量の泡を消すための添加剤。

(2)NPO法人「大豆100粒運動を支える会」が運営。子どもたちが大豆を育てることで日本の大豆を復興させようと、2005年結成。

(3)豆腐加工会社の㈱ささかみ。JAささかみ、パルシステム連合会、新潟県総合生協、共生食品の協力のもと、2001年設立。

(4)石巻市北上町十三浜の若手漁業者が、震災後に共同で立ち上げた漁業生産組合。2013年3月号参照。

(5)相模原市津久井地区に社有する杉林(2400坪)を伐採し、山桜など2000本を植樹。2010年9月号参照。

 

共生食品株式会社 〒252-0132神奈川県相模原市緑区橋本台3-18-22 

TEL042-773-2333(代)

URLhttp://www.kyousei-f.jp/      共生食品  検索

 

 

執筆者

執筆者所属

翻訳と校正

メディア

パルシステム・セカンドリーグ月刊「のんびる」No.79(2013年5月号)より転載(pp.48-49)

 

 

This post is also available in: 簡体中国語

Facebook Twitter 微博

CATEGOLY