2013/12/20 by Tanada

日本に学ぼう! ~日本の自然学校 視察レポート3(山水自然保護センター 鄒滔さん)

自然学校について:

自然学校全国調査委員会からの情報:

【理念と意義】具体的な活動を通じて人と自然、人と人、人と社会の関係を深め、人と自然が共生する、持続可能な社会に貢献する。

【活動内容】専門スタッフの指導の下、自然体験活動や関連する地域のコミュニティの生活や文化に関する活動、およびその他の体験式の教育活動を、系統的かつ安全に実施する。

【組織形態】特定の責任者、指導員、連絡先住所、活動内容、活動場所および活動に参加するメンバーにより構成される。

自然学校が展開する活動は、複雑で多岐に渡っている。(例)自然体験活動、アウトドア活動、地域のコミュニティ体験、観察会、古民家再生、里山や田んぼの再生、企業CSRのサポート、人材育成、調査研究、国際協力、災害救援、ソーシャルサービス等々。

2010年現在、日本の自然学校は3700箇所に及び、運営方法は多種多様。政府や役所が創設し運営しているもの、民間の基金会が運営しているもの、民間組織が独立運営しているもの、企業が創設し運営は民間組織に委託しているもの、政府や役所が創設し、運営は指定された民間団体が委託管理しているもの、個人で運営しているもの、NPO法人、ボランティア団体が運営しているもの等、様々である。日本の農村や山村、漁村地域では、農協や工商協会、観光協会、青年団といった、古くから存在する組織の代わりに、自然学校がコミュニティの旗振り役や活動拠点となり、小さな産業を形成している。

ホールアース自然学校は、自然学校を一種の社会運動とみなし、日本的な自然観を取り戻すことによって、人類の多様な価値観を認める社会の実現を目指している。

視察の背景:

日中自然学校技術協力プロジェクトは、日中市民社会ネットワーク(以下、CSネットと称する)がコーディネーターとして国際協力機構(JICA)に対して申請した草の根技術協力事業プロジェクトだ。日本側の実施団体はNPO法人エコツーリズムセンター、中国側の実施団体は山水自然保護センター。プロジェクトの目標は、日本の自然学校の経験を手本として、人々の考え方を促進し地方の発展に寄与する、地域の発展と密接な関係を持つ自然学校を建設し、それを維持する体制を整えるのを、中国で推し進めることである。

スケジュールに沿って説明すると、4月22日から27日にかけて、我々は中国国内の高校や植物園、自然保護区、10数名のNGO自然教育専門家および実践者から成る一行が来日、富士山周辺の4つの自然学校の関連状況を現地視察した。また、日本側の専門家とディスカッションを行い、プロジェクト教材の編纂についてアイデアを提供した。

以下、今回の視察レポートを記す。

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4月22日  東京到着

午後、北京・成都・上海から来た十数名の視察団員が続々と東京に到着、CSネットの朱恵雯や李妍焱、その他のメンバーと会う。郊外にある成田空港からにぎやかな東京へ向かうが、“生い茂る森林、整然とした水田、清潔できちんとしている”、それが日本の第一印象だった。夕方、エコツーリズムセンターとホールアース自然学校の創始者である広瀬敏通氏と面会した。広瀬氏から、日本の自然学校の基本的な状況やJICAプロジェクトについて詳しい紹介を受けた。また若い頃に自然学校の建設に身を投じた経験の話も聞いた。

広瀬氏が、「日本の自然学校の事業は、自分たち『自然学校が好きで、力を尽くしたくてしょうがない10人ちょっとの野郎ども』が中心となって、一緒に酒を飲み、意見を交わし、協力しながら次第に規模を大きくしていき、ついに産業として完成させたのだ」と話していたことが、とても印象に残っている。自然学校の発展には、このような中心人物がとても重要だ。JICAプロジェクトで中国の自然教育専門家を日本に招待するのは、中国の自然学校の中心となる人々を団結させ、ネットワークを構築し力を合わせる試みである。とても有意義だ。

夜、近くの日本料理の店に行く。輪になって座って、広瀬氏にいろいろ質問したり、焱妍から日本で生活する中での知られざるエピソードを聞いたりした。広瀬氏が二十歳過ぎの頃にインドやカンボジア、タイなどの国へボランティアとして訪れ、開発や援助をした珍しい体験話に、私たちはとても惹きつけられた。

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左上:飛行機から見た、富士山やその他の山脈

右上:成田空港から東京区内へ向かう列車の中

左下:日本の自然学校の基本状況を紹介する広瀬氏

右下:夕食の日本料理

4月23日   ホールアース自然学校を見学

早朝に東京を出発し、静岡県富士宮市にあるホールアース自然学校へ向かう。道中、恵雯による解説の他に、北京大学の劉華傑先生も、つるが左巻きで右巻きではないフジはどれかといった、路傍の植物に関する見識を披露した。途中休憩の時、雲に遮られていた富士山がとうとう姿を現した。巨大な山で、ほぼ円錐形に近い稜線を見せていた。

富士宮市に到着。道路脇に整然とした水田や家屋が現れる。これが典型的な日本の田舎の風景だ。ホールアース自然学校はまさにこの田舎にあり、小さいが特徴的な沿道の看板が道案内してくれた。瑪莉さんが門の外で温かく迎えてくれ、彼女の引率で事務所や研修室のある木造家屋、自然歩道に渓流、野外活動区域や富士山展望台を見学した。その間、私たちに自然学校の歴史や展開している活動についてレクチャーしてくれた。ホールアース自然学校の前身は、広瀬氏が1982年に建設した家族運営による動物農場だ。その後、自然探検やアドベンチャー活動を追加し、30年の発展を経て、自然学校の自然体験活動はとても成熟したものとなった。ホールアース自然学校は日本各地に7つの分校を持ち、専任スタッフが40余名いる。他にも大勢のボランティアやパートスタッフが自然学校の仕事を受け持ち、毎年約8万人が参加費を払って活動に参加している。

ホールアース自然学校の本校は決して大きくなく、約4ヘクタールしかない。ごく一部の土地を学校が所有しているだけで、大部分の土地は現地の自治体から賃貸しているのだが、そうすることで学校と周辺地域との緊密で和やかな関係構築に役立っている。例えば、ホールアース自然学校は、毎年ボランティアを募って地域の林や竹藪の整備を手伝うことで、現地の森林種の単一化かつ過密化の問題を解決している。年末には「謝肉の日」を開催し、学校を支援してくれている地域への感謝を表す。他にも、ホールアース自然学校はスタッフの積極性を引き出すことをとても重視しており、スタッフは誰でも講師になって自分が得意とする自然体験レッスンを開講できる。このようにして学校は豊富で多様な自然体験活動を展開している。例を挙げると、自然体験活動指導者養成、遠足、エコツアー、親子キャンプ、食体験、アウトドア体験学習、トレッキング、洞窟アドベンチャー等々。これらの活動は自然学校が本拠地であるが、学校の範囲に止まらず、活動範囲は周辺の地域や山野にまで広がっている。

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左上:途中休憩の際に見えた、雲と霧に遮られた富士山

右上:瑪莉さんによる解説

左下:富士山展望台

右下:野外活動区域と雨天時の活動部屋を見学

樹海洞窟体験活動に参加

昼食後、私たちはホールアース自然学校の瑪莉さんと川道光司さんの案内で、富士山山麓にある青木ヶ原樹海に向かい、樹海洞窟体験活動に参加した。千年以上前に富士山が噴火した際の溶岩流でできている青木ヶ原樹海の土壌はごく薄いため、樹木が深く根を張ることができず、四方に根を伸ばすしかできない。鬱蒼と茂る森は実は非常に脆弱で、ひとたび大風に見舞われると、たくさんの大樹が倒れてしまうのだ。

私たちが入ろうとしている洞窟は、ごく普通の林の中に隠れていた。地下に潜ると、火山性溶岩からできているのが分かる。瑪莉さんが、ヘルメット・防水かっぱ・手袋・懐中電灯などを身につけるよう指示し、安全に関する心得を説明してくれた。私たちは列を作ってゆっくりと洞窟内に這って入ったが、深く潜るほど困難さが増し、手も足も使いながら進んだ。洞窟内の広々とした空間に入り、全員が懐中電灯を消すと、辺りはたちまち漆黒の闇と静寂に包まれ、水が滴る音だけが聞こえた。「富士山に降り注ぐ雨は、地下に染み込んでから15年近く経ってから、ようやく地表の川に流れ込みます。自然界では、このようにゆったりと時が流れているのです」と、川道さんが解説してくれた。その後、団体で行うゲームをした。全員で一列に並び、前の人の肩に手を置いて、懐中電灯を消す。先頭の人の指令に完全に委ねる形でゆっくりと前に進むのだ。漆黒で歩行が困難な洞窟の中だったが、誰一人としてこける者はいなかった。お互いへの信頼と団結に支えられていたのだった。

洞窟の外と中は全く別の世界で、洞窟を出たら新しく生まれ変わった気持ちが沸いてきた。川道さんは、森の中にある足跡や糞などの動物の痕跡について教えてくれた。また、オオカミなどの大型肉食動物が絶滅し、鹿の頭数が激増しているため、大量の樹木の樹皮が鹿に食い荒らされ枯死しているといった生態系の問題が発生していることについても話してくれた。川道さんは気が付かないうちにそっと鹿の角を1本道端に置き、誰か見つけるかどうかを観察していたのだが、鹿の角の色は枯れ葉の色と交ざっていて、見つけるのはとても難しい。

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左上:青木ヶ原樹海の樹根

右上:青木ヶ原樹海の成り立ちを解説する川道光司さん

左下:装備万端で洞窟へ

右下:活動体験の分かち合いとディスカッション

今回の体験では非常に感銘を受けた。解説を請け負った川道さんは、身につけていた袋の中の様々な面白い道具を使って、非常に具体的に説明してくださった。例えば、ヘルメットを使って樹海の成り立ちを解説したり、手袋を使って洞窟の形を示したり、森の様々な動物の写真や参加者に見つけさせた鹿の角を展示したり。それだけでなく、すべての特定の地点では、それに関連する一種類または数種類の内容を明示するのみで、タイミングもテクニックも非常によく練られており、深い印象を残すものだった。他にも、この国立公園の中でも関連する規制を遵守するだけでなく、この地で活動を展開する団体や個人に対しても行動規範(例えば、活動して良い範囲は道路上だけとし、道路の両側には入ってはいけない等)を決め、脆弱な生態環境を保護している。学ぶべき点である。

夜の総括では、参加者はそれぞれの活動や体験で感じたことを分かち合った。どの人も大変興奮していた。それぞれが携わっている具体的な自然教育の方法は異なっても、その中から学べる部分を見つけることができた。

4月24日 田貫湖自然塾を訪問して

田貫湖は、富士山の西側にある湖で、日本の有名なリゾート地である。朝は自由時間だったので、バードウォッチングをしながら、田貫湖の周りを一周散歩した。湖にはキンクロハジロ、カイツブリ、カナダガンなどの水鳥がいた。湖沿いの道は自動車道と歩道がきちんと分かれていて、基礎的な設備がとても細かく整備されており、特に歩道沿いに自然案内の看板があって自然について説明してあり、デザインも趣があって、よかった。

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左上:田貫湖

右上:田貫湖周辺の環境と動植物に関する展示

左下:実物と模型を使った、ムササビの生活環境の展示

右下:自然塾のマネージャーによる、マネジメントと運営状況についての説明

ここのカスタマーセンターは、博物館のような、体験型の自然教育センターとして政府が設計しており、田貫湖自然塾と名付けられている。ホールアース自然学校が管理と運営を担っている。自然塾では、たくさんの展示で田貫湖周辺の特色ある動植物と環境の説明をしている。展示もインタラクティブ(対話形式)であったり、ボードや文字に工夫がされていたりと、ゲーム形式を利用した生き生きした方法で訪問客が見て触って参加できるようになっている。ここは、中国の観光地にも似ている。もし中国の観光地にこのような自然教育センターを設立することを推進し、自然体験と観光を結び付けることができたら、観光地の莫大な訪問者数の力を借りて、影響力もさらに大きくなるだろう。

国際自然大学校が展開する活動を体験

田貫湖自然塾を離れ、山梨県北杜市の国際自然大学校へ向かった。国際自然大学校は全部で7つの分校を持つ。毎年、年初めに1年間の活動計画を制定し、東京等の大都市および周辺の都市にて、宣伝と募集活動をする。小学生向けのアドベンチャー体験や人間力を育てる活動に重点を置いている。毎年の夏は学校が最も忙しくなる時期で、東京などの大都市から来る子供向けのサマーキャンプの受け入れが主な業務となる。期間は2日から7日までいろいろで、そのほかの季節には、年間6回の自然体験課程など、地域や周辺の都市の児童の受入れが多くなる。

担当者による学校の状況説明を聞いてから、鷲田さんについて実際の活動サイトへ向かい、活動体験をした。サイトは森の中にあり、地面には厚く落ち葉とウッドチップが積もっている。全部で3つの体験をした。一つは、チームでシーソーに似た動く木の板の上に乗り、バランスを保ちながら移動するというゲーム。一つは、木製のフラフープ状のものに誕生日の順にチームで立つのだが、一人でも足が地面についてしまったらやり直しというもの。もう一つは、火山から脱出するゲームで、ロープにぶら下がって、5メートル離れた1平方メートル程度の木製の板に移らなければならない。しかも、十数名もが板の上でぎゅうぎゅうに立っていて、誰も地面に足をついてはならないというもの。3つのゲームとも、特に3つ目のゲームは最も難しいが、参加者の協力と協調性によって、私たちのチームは無事成功。そしてこの活動の趣旨も理解することができた。つまりチームでの協力がとても重要だということだ。活動サイトは中国の野外活動センターに似ていて、その設備は仲介業者から借りており、定期的にメンテナンスに来てくれる。ここでは野外活動の方式を自然学校に取り入れ、楽しさと危険が混在して、子供たちの反応も上々だ。この点でも、私たちの自然教育手法に対する認識を広げてくれた。

活動体験が終わった後、鷲田さんは国際自然大学校の全部のエリア、例えば子供たちがジャンプしたり泳いだりする渓流や、野営活動をするキャンプ場、林の中の、参加者とガイドが一緒に建てるツリーハウスなどを案内してくれた。

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左上:国際自然大学校の責任者、山口方一さん

右上:活動体験

左下:活動体験

右下:小学生の野外体験に使うキャンプサイト

4月25日 KEEP協会の自然活動を体験

夜に雨が降り、濃い霧が立ち込める中、KEEP協会のある清泉寮に到着した。ここは日本の有名な高冷地牧場―富士山北部の清里高原にあり、四方は雪山に囲まれ、四川省西部の高原のような風景だ。ここも、日本の自然学校ネットワークが毎年集まる場所で、全国の自然学校のマネージャー二百名あまりが3日間集まり、自然学校のいろいろなテーマについて、情報シェアと討論を行う。

早起きすると、朝日がさんさんと降り注いでいた。沈憂先生と私は一緒にウッドチップが敷き詰められた森の歩道を歩いてみた。ツグミ、セキレイ、タカサゴモズ、クロツグミ、アカハラ、コウライキジなどが観察できた。朝食の後、KEEP協会の環境教育センターにて、センター長の増田直弘さんがKEEP協会と、環境教育の基本的な状況について説明してくれた。清泉寮はもともと日本の有名なリゾート地で、毎年たくさんのツアー客が訪れる。田貫湖自然塾と同じで、無料で環境教育センターに入ることができるが、自然体験活動に参加する際には、参加料を払わなければならない。毎年自然体験活動への参加者は大変多く、小中学生のほかにも、大人や専門学校の学生団体の参加もある。

竹越さんは、自然体験活動に案内してくれた女性だ。アイスブレーキングとして、太極拳を披露してくれた。森林セラピーはKEEP協会の自然体験活動の主な内容であり、参加者が森の中で、五感を通して自然を感じ、心身のリラックスと健康を得るというもの。竹越さんは杉の葉を折って香りをかいだり、地面に生えている竹と竹の葉で竹笛を作ったりするやりかたを教えてくれた。それから皆で鏡を持って、顔の前に持ちながら森の歩道を歩き、そこに映る変化を観察したりもした。また、一人一人自分の家紋(「家」のシンボルで、日本の伝統文化に基づいている)をデザインするということもした。

KEEP協会はやまねミュージアム(やまねとは、体長10センチメートルほどの、樹上で生活する齧歯目動物)を有している。ぬいぐるみや、標本、生態環境の再現、図、動画等さまざまな方式で、やまねの特徴、習性、繁殖などいろいろな展示をしている。やまねは絶滅に瀕しているわけでも、環境保護の象徴種でもないが、対外的な位置づけとしては、清里高原の生態系を知る上での切り口となり、関連の研究を通して科学の普及をするおもしろい方法と言えるだろう。

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左上:KEEP協会環境教育センターの特色ある展示

右上:雪山の中の高原牧場

左下:森の中の自然体験活動:家紋作り

右下:やまねミュージアムの様々な展示手法

4月26日 立教大学での日中自然学校交流会

自然学校4校の現地見学を終え、私たちは東京に戻り、立教大学にて日本の自然学校の専門家とシンポジウムを開いた。日本側の専門家はKEEP教会の川島直氏と風と土自然学校の梅崎靖志氏が出席し、CSネットの李妍焱氏が司会を務めた。彼女はまずJICAプロジェクトについて紹介し、まもなく出版予定の教材2冊について説明した。一冊は日本自然学校の案例集で、もう一冊は自然学校のカリキュラムである。さらに中国の自然教育の現状と問題点についての意見を交換し、川島氏と梅崎氏も彼らの経験と方法を話した。しかし、ディスカッションの時間が短く、あまり話は深まらなかった。

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左上:立教大学(東京)

右上:日中自然学校交流会

左下:自然学校教材Q&A問答集

右下:梅崎氏による経験と方法の紹介

4月27日 東京から帰国してすべての行程を終えた

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上:今回の視察メンバーと活動指導員の鷲田氏、国際自然大学校にて

今回活動を通して、考えたこと:

1.日本の自然学校は社会的企業モデルとして運営されており、三十年あまりの発展を経て一つの産業や社会運動にまで成長した。具体的には、学校への参加を有料とすることで利益も獲得し、学校として社会的影響も与えることができた。そして、たくさんの人々に参加してもらうことができるようになり、結果として良好な運営が可能になり、学校、地域、政府との効果的な協力関係ができた。これは、日本の自然学校が社会の需要に適用したサービスを新しく作り上げることができた結果、社会的に認められる組織として成功することができたと言えるのではないか。

現在の中国における自然教育は、日本での発展当初の80年代に似ている。社会の発展・開発に伴って人々の自然環境に対する意識が低下し、さらに学校では自然科学に対する教育が疎かにさている状態だ。そんな今の中国社会こそ、自然に対する教育が必要である。日本の経験から学び、さらに中国の地域に適用できるように改良した自然学校を作り上げれば、日本の成功例と同様に、中国でも経済的に利益を得つつ、さらに社会的な影響を与えることができるだろう。私たちは自然教育を通して、より多くの人の共感を得ることができるはずだ。

2.日本の自然学校を取り巻くネットワークは、自然学校事業の後押しと成長拡大に非常に重要な役割を担っている。例えば、広瀬敏通氏、高木晴光氏、川島直氏などは長年にわたって研究をつづけ、中心人物として重要な役割を果たしている。その一方で運営方式に関しては、山水の「自然学堂」と日本自然学校は似ている。ただ、山水はJICAプロジェクトの力を借りることで、日本同様に中国国内の自然教育のネットワークを作り上げ、国内の自然教育の中心人物の発掘と育成をすることができると考えられる。

3.まだ中国国内で自然教育の形式がまとまっていない現状と違って、すでに日本の自然学校は地域やコミュニティと一体化してまとまっている。彼らは長年に渡り土の役割を強調し、土と人との関係を強く結び付けることで自然教育を行っている。それはまるで土の神様に守られているようで、強い活力が感じられる。中国国内にも土と密着する自然教育の研究者が必要である。また、山水が運営している基地の中にも自然学校に適している場所が多く存在する。それらのうち一部はひな形になっている。たとえば、「年保玉則協会」、「青海湖辺の南加」など。

<準備中の企画>

1.今回の視察メンバーは北京、上海、成都の方が多い。今回の日本自然学校の視察についてお互いに経験の共有と反省を行う話し合いをするため、我々は成都、北京、上海でそれぞれシンポジウムを企画する予定だ。成都のシンポジウムは、成都観鳥会の主催により今週土曜日に青羊区青少年宮で開かれる。北京では奇遇花園喫茶店で開かれる予定だが、詳しいことはまだ調整中である。上海では朱恵雯氏が担当し、ほかのメンバーと打ち合わせしている。

2.JICAプロジェクトは今後、今年の来日中国人研修生の中から募集をかけ始め、日本の自然学校二か所以上で学ぶ予定である。期間は2か月。今年は2,3人が無料で受けられることになっている。具体的なことについて引き続き検討中である。

3.JICAプロジェクトでは、今年の9月に国内の自然教育交流会と作業場を開く予定である。定期的に交流を行うことにより、中国の自然教育のネットワークを作り上げるのが狙いだ。今回の参加者であるシーサンパンナ熱帯植物園科学普及教育部の責任者の王西敏氏は今年、シーサンパンナで開くよう交渉している。

執筆者 鄒滔
執筆者所属 山水自然保護センター
翻訳と校正 翻訳:三津間由佳、陳セイ、棚田由紀子 校正:棚田由紀子
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