2013/12/20 by Tanada

日本の民間団体による本気の省エネ策 ~東京寿光院

14年前、人々は寄付を集め、お寺に太陽光発電所を作った

20131220-1日本は、東日本大震災を経験してはじめてエネルギー問題を重視し始めたのではない。東京の江戸川区にある寿光院というお寺では、人々が自ら出資して、14年前から太陽光発電を行っている。現在は省エネ冷蔵庫への交換をすすめる運動を推進し、人々と共に電力不足問題の解決に取り組んでいる。

電気はどこから来るのか。巨大な電力会社を利用せずとも、日本では、お寺を発電所にして、太陽光で発電した電気を販売できる。東京都江戸川区の寿光院は、悠久の歴史を誇る古刹である。360年前の江戸時代に創建され、第二次世界大戦で破壊されたのち再建された。

1999年7月、日本のNPO、足温ネット(足元から地球温暖化を考える市民の会)が太陽光発電プロジェクトを立ち上げた所、すぐに寿光院の賛同を得た。寺の敷地内に太陽光発電設備を設置し、年間で約6000キロワット時を発電する計画だ。これは、たった二世帯が一年に使用する電気の総量に匹敵するに過ぎないが、先駆者として実験の意義は大きいものだった。

寿光院は東京都のひっそりした住宅街に位置し、地下鉄も通っていないため、タクシーの運転手さんもお寺をすぐには見つけられないほどだった。ところが、ここには世界で最も独創的と称される再生エネルギーの発展モデルがある。昔は茅葺きだった屋根に、きらきらと輝く新しい太陽光パネルを載せ、福島の原子炉災害が起こる前から、10数年も太陽光発電を続けている。

台湾人は瓦を寄進して功徳を積むが、日本人は太陽光発電パネル

この美しく静かな寺院には、寺のほかにもうひとつの看板がある。「江戸川市民発電所」だ。世界各地の太陽光発電所の多くは、政府や企業が設置運営するものだが、「江戸川市民発電所」という名を持つ寿光院は、近隣の住民の出資によって支えられている。

住職の大河内秀人氏によれば、設置にかかった費用は590万円で、そのうち行政からの補助が225万、銀行ローンが112万、残りが住民からの借金により賄われた。当時、東京電力の電気料金は単位あたり22円だったが、寿光院の電気は55円、賛同する住民は差額の33円を自ら進んで負担したのだ。

2倍もする電気を買うなんて、とても考えられない。一体どういう人たちが買うのか?住職は言う。「彼らは、私たちの電気を買うというより、私たちの理念を買っているのです」「天然資源は本来貴重なものであるという観念を皆が持つべきです」住職によれば、1年におよそ200人の人がこのプロジェクトに出資し、約8年で投資は回収したそうだ。

また、足温ネットでは出資した市民に「グリーン電力証書」も発行している。東京電力への「売電」で得た収入により、10年かけて市民に完済する予定だ。2~3年前から政府も再生エネルギーに力を入れ始め、東京電力にも単位あたり48円での再生エネルギー買い取りが義務付けられたのだ。売電で得た利益は、当初出資した市民に分配する。

発電量が足りない時は、東京電力から電気を買い、余ったら売る。御堂の壁には、最新式の電気計器が掛かり、掌大のモニターには電気使用量、発電量、売電量、電気購入量がリアルタイムで表示され、一目でわかるようになっている。「台湾のお寺では、人々は功徳を積むために瓦を寄進するが、この日本のお寺では、お金を集めて太陽光発電パネルを設置しているのです!」日本に暮らし、お寺を見学に来た台湾人の曾麗梅さんは、日台をそう比較した。

頭をひねって考えてみよう。7台の冷蔵庫が節電すれば発電所を超える

太陽光パネルの他、お寺にはもうひとつの見どころがある。御堂内にある一つの本棚は、そのすべてが原子力エネルギー関連書籍で、住職の個人蔵書だ。今年56歳の大河内秀人住職は、日本の有名私立大学のひとつである慶応大学政治学部を卒業した秀才で、エネルギーに対して独自の考えを持っていた。

彼は言う。日本の電気料金制度で一番高額なのが、昼間の電気料金だ。そして太陽光発電の発電量が最大になるのも昼間。再生可能エネルギーを最適に組み合わせ、同時に蓄電技術を開発すれば、将来的に再生可能エネルギーのコストは必ず下がる。これこそ、進むべき道である、と。そして代替エネルギーを捜すよりも、「節電」する方が効率的だとも主張している。寿光院では、家庭内の冷蔵庫から改革して行こうと提唱している。「他の電気製品はオフにできても、冷蔵庫だけは24時間つけっぱなしですからね」大河内氏は、冷蔵庫が省エネできれば、節約できる電力は想像を超えているという。

そこで、お寺では省エネ冷蔵庫応援計画にも取り組んでいる。最新型の省エネ冷蔵庫に買い替えたい人に、寿光院は無利子で10万円を貸し付け、5年以内に償還してもらう。開始当初、この取り組みに参加したのは7人で、70万円を支出した。驚いたことに、1年後に電力使用量の統計をとってみると、7人分で1年間に8000キロワット時の電力を節約できたことになり、590万円をかけて建てた太陽光発電量よりもまだ多い量となった。そこで、寿光院では、今後は太陽光パネルのために増資増設することはせず、人々が省エネ冷蔵庫に買い買えることを応援することにした。寿光院の実験は、小規模なものだが、意義は大変大きい。小さな団体が皆このようにすれば、巨大発電所はいらない世の中ができるかもしれない。

寿光院

名称:江戸川市民発電所

歴史:約360年前の江戸時代に創建。1999年7月にNPO足温ネットと協力し、太陽光発電所を開設した。

発電量:1年で6000キロワット時

執筆者  王美珍 撮影:張智傑
執筆者所属  
翻訳と校正 翻訳:松江直子 校正:棚田由紀子
メディア 『遠見雑誌』2013年9月号 第327期

http://www.gvm.com.tw/Boardcontent_23866.html

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