2013/12/05 by jixin

【pal*system】「ほんの少し、飯舘の匂いを残してこられた」〝味噌の里親〟から、〝味噌の里帰り〟へ

味噌の里親プロジェクトin福島味噌づくりワークショップエコツアー

東日本大震災から2年経った今も、ふるさとに戻ることのできない福島県飯舘村の人たち。同村の伝統的な味噌の味を守る「味噌の里親プロジェクト」が、さる3月10日(日曜日)、飯舘村の皆さんが避難生活を送る伊達東仮設住宅で「味噌づくりワークショップ」を開きました。

天ぷらバス、一路、福島へ!

 

飯舘の大豆を使った伝統的な味噌「さすのみそ」。それを種味噌(※)にして、新たな味噌を寒仕込みし、飯舘村の食文化を子どもたちにつなげていく。それが、2013年3月号で紹介した「味噌の里親プロジェクト」です。2011年12月のスタート以来、東京、神奈川、埼玉、茨城で味噌づくりワークショップが行われ、「味噌の里親」となる人たちも全国に広がっています。

(※)「飯舘村『味噌の里親』プロジェクト」で種味噌とした「さすのみそ」は、2010年産の原料でつくられ、放射能検査でも安全性が確かめられています(外部検査機関での検査で、セシウム134・137、ヨウ素とも検出限界値の結果を取得)。今後も放射能検査を継続して実施し、安全性を確かめていきます。

 「プロジェクトも3年目を迎え、新しいことをやろうとメンバーで話し合いました。そこで出たアイデアが、福島への日帰りバスツアーを仕立てて、飯舘の人たちと一緒に味噌づくりをすることでした」(プロジェクト代表の増田さん)

さっそく参加者を募ったところ、申し込みが殺到。定員オーバーとなりました(『のんびる』のツアー告知を見て、申し込んでいただいたものの、参加できなかった皆さま、本当に申し訳ございませんでした)。

ツアー当日は、復興支援バスツアーを企画するリボーンエコツーリズム・ネットワークの「天ぷらバス」(廃食油をリサイクルしたBDF燃料で走るエコなバス)が一路、福島を目ざします。参加者は約25人。その一人、遠藤浩樹さんはこう話します。

 「私は福島市出身で、福島の復興を支援する『NPO法人ネクスト福島』を仲間と立ち上げました。『味噌の里親プロジェクト』は、このツアーに参加するまで知りませんでした。まだまだ熱い想いを持って、復興支援に取り組む人たちがいるのですね」

参加者の多くは初対面同士。車内で交流を深めながら、天ぷらバスは東北道を走り、昼前、会場の伊達東公民館(仮設住宅のそば)に着きました。

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写真:「天ぷらバス」が、伊達東公民館に到着。

 

味噌づくりと「ソーラン節」

 

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写真:飯舘村農業委員会 会長・菅野宗夫さん。

 

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写真:「さすのみそ」づくりのベテラン、菅野栄子さん。震災後、佐須の食品加工グループは活動を休止していたが、凍み餅をイベントで売るなど、最近、活動を再開した。

ツアー参加者を最初に迎えてくれたのは、飯舘村農業委員会会長の菅野宗夫さん。

 「2年経って、飯舘はなにも変わっていない。なにも変わっていないことが、一番つらい。でも、今日こうやって、皆さんが来てくれたのは本当にうれしいです」

続いて、飯舘・佐須地区で味噌を中心とする加工食品づくりに取り組む菅野栄子さんが笑顔であいさつ。

 「今日は佐須の仲間たちで、心づくしのお昼ごはんを用意しました。田舎のばあちゃんがつくったものだから、口に合うかどうかわからないけど、た~んと食べて」

すると、割烹着姿の“飯舘のばあちゃん”たちがあたたかい手料理を運んできてくれました。おこわおむすび、豚汁、人参のエゴマ味噌和え、お漬物。人参などの野菜は、仮設住宅そばの畑で菅野栄子さんたちが育てたもの。豚汁の味噌は、「味噌の里親プロジェクト」が仕込んだものです。

食事のあとは、さっそく味噌づくり。飯舘の皆さんも一緒に参加し、総勢およそ40人。始めにまず、参加者全員で手をつなぎ、黙とうを捧げたあと、「福島のことを忘れない」と心の中で誓い合いました。

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写真:味噌づくりワークショップのインストラクターである角掛さんが、飯舘村のDNA(遺伝子)の入った玄米味噌(種味噌)を、それぞれの味噌に混ぜていく。

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写真:公民館内の調理室では、“飯舘のばあちゃん”たちが、心づくしの昼食を準備中。

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写真:昼食は、飯舘村の人たちとツアー参加者が一緒に。豚汁は大人気で、どんぶり鉢でありながら、お代わりする人が続出。

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写真:味噌に使うのは、無農薬の秋田産大豆「リュウホウ」、希少な国産特別栽培米の玄米麹、長崎県産の浜御塩。

 

味噌づくりでは、大豆をひと粒ずつ丁寧につぶし、麹と塩をまんべんなく混ぜます。これがなかなか力のいるもの。その疲れを吹き飛ばそうと、気合いを入れて「ソーラン節」を大合唱!会場は大盛り上がりでした。

味噌づくりを終えると、バスは伊達東公民館を出発。菅野栄子さんたちが手を振り見送ってくれるなか、ツアー参加者一同、名残り惜しそうでした。

帰りの車内では、「3月10日をこうしてすごした意味を、自分なりにかみ締めている」「今度は友達も連れて、少しずつこの味噌を広げていきたい」「いつの日か、“味噌の里帰り”をさせたい」など、さまざまな感想の声が出ました。そして、「味噌の里親プロジェクト」のメンバーである、ヤマキ醸造の角掛康弘さんがこう締めくくりました。

 「菅野栄子さんが『公民館だけど、佐須の味噌蔵と同じ匂いがする』と言っていました。わずかでも、かけがえのないふるさとの香りを、残すことができたと思います。今日をご縁に、飯舘の味噌を皆でつないでいきましょう!」

今日のツアーで仕込んだ玄米味噌は約140キロ。その内、約100キロを「味噌の里親プロジェクト」事務局が引き取り、ヤマキ醸造の蔵にて大切に熟成。同プロジェクトは今後も、味噌づくりワークショップを続けていきます。

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写真:味噌づくりは、心をひとつに、表情は笑顔に。

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写真:できあがった玄米味噌を手に記念撮影。

 

飯舘村「味噌の里親」プロジェクト 【ブログ】http://blog.livedoor.jp/misonosatooya/

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メディア

パルシステム・セカンドリーグ月刊「のんびる」No.79(2013年5月号)より転載(pp.46-47)

 

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