2013/12/04 by Tanada

政府の会議室でコーヒーを(後編)

※前編: http://csnet.asia/archives/15135 (日本語版) http://csnet.asia/zh-hans/archives/15140 (中国語版)

垣根を越えたパートナーシップ

“ワールド・カフェ”は、探究すること、聴くこと、発見することを特に重視し、参加者一人一人がユニークな意見やアイディアを発信することを奨励し、その上でコンセンサスを生み出し、問題を解決する;“ワールド・カフェ”は平等感とリラックス感を提供し、コーヒーテーブルのもとでは指導者と大衆の区別はなく、社会組織側が思い切って何か発言しようとすると、双方は全ての縛りをなくし、決まりきった型を捨て去るのだ。

「政府と社会組織はいったいどのような関係にあるのか、はっきり説明できる人はいますか」。ある参加者がこんな問いを投げかけた。

多くの人の第一声は「管理する側とされる側」であり、ある人は「上級と下級」と答えた。またそれらの意見にはっきりと反対する人も少なくなかった。しかし、一時間余りの討論を終えると、全ての参加者がある一つの言葉に賛同するようになった――それは“パートナーシップ”であった。

「実は我々は現在、第五回目のワールド・カフェを開催する段階に入っているが、各方面のコミュニケーションは既にかなりスムーズになっている」。柳眉秀が記者に語った。以前は政府の役人と社会組織との間には壁があり、愉快で忌憚のない交流などもってのほかだったため、お互いがお互いを理解していなかった。「政府側は公益事業に従事する人々がなにをどのように行っているのかを理解し、また公益組織側は政府の仕事の仕方や流れを知ったことで、信頼関係が築けるようになったのだ」。

また、公益事業への参加に意欲のある企業家にとっても、“カフェ”は心を動かされる場である。凌樽網絡科技公司の責任者は、カフェテーブルで企業が社会事業に参画するという新しい発想を学び、「このコーヒーも飲んだだけのことはある」と語った。

柳眉秀は現在、より多くの社会的責任のある企業にも参加してもらい、更に多方面にわたる交流を目指している。「企業の中では大部分の従業員が70、80年代以降に生まれた世代であり、彼らの文化的レベルや技術力はとても高いが、公益分野に関する理解は非常に限られている。彼らは流行の方式をとても好むため、この種の交流の中で、心から楽しみながら公益の理念を受け入れ、そして企業の社会的責任を作り上げていくのである」。

上海虹口区社会組織サービスセンターも、このようなコミュニケーション方法をより多くの社会組織に活用してもらい、政府の役人や企業の責任者とのコミュニケーションをより平等でスムーズにすることができればと願っている。「1つ目は明確な討論テーマを設定することで、その際討論を通じてある目的やコンセンサスに到達することを目指すべきで、盲目的な討論では意味がない。もう1つは座がしらけたり逆に制御できなくなったりしないよう、最大限にアイディアをしぼって全ての段階を設計する必要がある」。柳眉秀は自身の経験をこう語る。

深圳政府のコーヒーの香り

“ワールド・カフェ”の理念を取り入れているのは上海だけではない。深圳政府もこの公益分野で流行している様式の導入を試みている。

6月14日午後、深圳市民間組織管理局(以下、民管局)は“知恵の結集・共有・ウィン・ウィン”と題した深圳業界団体サロンを主催した。これまでのサロンの形式とは異なり、今回は“ワールド・カフェ”の新しい討論形式を採用した。参加者は“皆で立法に参加し、新しい発展のために共に取り組もう”というテーマに沿って《深圳経済特区行業協会条例》の立法内容について討論を繰り広げ、このもともとは厳かなテーマについて活発な議論を繰り広げた。

その日のサロン会場も例外ではなく、部屋はカフェのように装飾され、22脚の机の上にはテーブルクロスが敷かれコーヒーが置かれていた。サロンに参加したゲストたちは9人で一つのテーブルを囲み、討論を始めた。民管局管理サービス部部長の易玉琨氏が司会を担当し、市人民代表大会、市法制事務局、市発展改革委員会、市政府発展研究センター、市民管局など十数の部門の指導者及び60以上の業界団体の責任者が参加した。

《深圳経済特区行業協会条例(草案)》は何年にもわたって繰り返し練り直されており、主催者側はこのような革新的な方法によって生まれた化学反応で立法を突破したいと望んでいる。「つまり我々が本日飲んでいるのは立法コーヒーなのだ」。易玉琨はユーモラスに言った。

“ワールド・カフェ”で重要な内容の一つは、テーブルのメンバーをシャッフルすることで、議論が一巡二巡したらゲストはテーブルを移動し、異なる地位・業界の人々とまた討論を行う。したがって1ラウンドごとに議題を振り分け、テーブルを順に移動するという動的ながらまとまりのある討論形式を取ることによって、「社会を管理する主体がますます多元化する新時代において業界団体の役割をどう位置づけるか」、「業界団体の健全で秩序ある発展のためにどのような支援や援助が必要か」、「いかに自主規制し、いかに業界団体内部の管理規範や外部の監督管理を整備するか」という3つの議題について一歩進んだ討論を行った。

NPI非営利組織発展センターの黄文鋒は、テーブルを移動する討論形式に深い理解がある。「“ワールド・カフェ”は開放的な空間であり、ここはそれぞれの考えを語り合い、共有し、そしてぶつけ合う空間である。ゲストたちはできる限り多くの人と討論をするべきであり、具体的に言えば2ラウンド目ではテーブルリーダーだけが元のテーブルに留まり、ほかのメンバーは別のテーブルを選んで移動して討論を続ける。こうすれば更に激しい思想の火花を散らすことができるのである。」と彼は言う。

リンク

20131031-5

アニータ・ブラウン氏とデイビット・アイザックス氏の著書《The World Café:Shaping Our Futures Through Conversations That Matter》の中で、ワールド・カフェを可視化するための具体的な過程が記されている。ワールド・カフェでは全員のアイディアと知恵を結集することで問題を解決し、思考の共通性を見つける。カフェ会議は創造の過程であり、互いに聞き手や話し手になる対話や知識の共有並びに行動を生み出す可能性を引き出すもので、大小様々な組織に適している。

ワールド・カフェの会場は本物のカフェのように装飾し、何人かで一つのテーブルを囲み、20~45分程度の討論を行う。一つのラウンドが終わったら、一人は進行役としてそのままテーブルに残り、他の人は別のテーブルに移動する。テーブルの進行役は新しいメンバーに前ラウンドの対話内容をシェアし、また新しいメンバーはそれぞれが前ラウンドで出たアイディアを討論の糸口として提供したうえで議論を続ける。こうして新しいラウンドが始まるたびに議論がどんどん深まるのである。第三、或いはそれ以上のラウンドが終了したら、グループ全体で集まり、討論の中で出てきたテーマや気づき、学習の結果を共有、探求する。そして図表やその他の方法を用いて、グループ全体の知恵の結晶を全員に分かるように示し、全員がこのカフェで取り上げられた問題について考えをめぐらすことができるようにする。ここまで来れば会議は終了でき、また新しい問題の提起・探求を始めることができる。

http://www.gongyishibao.com/gongyi1/tjxw/201307/e7597dec052f4d77ae06d23c04a1d80b.shtml

執筆者
執筆者所属
翻訳と校正 翻訳:深江亜由美 校正:棚田由紀子
メディア http://www.csrglobal.cn/detail.jsp?fid=310140
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