2013/09/13 by Tanada

慧霊農場: 有機農場療法で知的障害者に平等を

知的障害者も社会活動に平等に参加し享受できる、ということをいかにして可能にするかという問題は、社会の各方面から関心を持たれている。2006年の第二回全国障害者人口全面調査によれば、全国における様々な障害者の総数は8296万人で、その内知的障害者は554万人を占めていた一部の統計データによると、現在では既に1300万人を超えている。

広東省広州市の郊外にある鐘落潭鎮茅崗村亀嶺には、ユニークな有機農場がある。慧霊農場は、全国でも率先して「農場療法」というコンセプトを取り入れている。大自然の新鮮な空気、リラックスした雰囲気と開放的な環境によって、知的障害者が生活と職の技能を身につけ、社会適応できるように手助けすることがねらいだ。

ユニークな「農場医院」

農場の正門から入ると、入り口の近くが静かで、広い芝生を通りすぎて瓦屋根の建物の前に着いた。二匹の犬が警戒して吠え、農場のスタッフの阿培さんがその声でお客さんが来たことに気付き、早足で歩いてきた。そしてお客さんを部屋の中に案内し座るように勧め、すすんでお茶をいれてくれた。

3ヶ月前に農場に来た阿培さんは、ここ30年ずっと見知らぬ人と接触することを両親から制限されていたため、とても内向的な性格だった。しかし農場で生活するようになってから明らかに進歩しており、見知らぬ人に会っても自分から声をかけるようになった。農場には、阿培さんの他に阿ミャオ(ミャオは口ヘンに苗)さん、嘉麗さん、万華さん、李端さん、阿勤さん、陳為和さん、陳為民さんの7名の特別な「子供達」がいる。

現在の農場長である張慧霞さんによれば、慧霊農場は、2008年4月に公益団体の慧霊機構が、広州の郊外にある鐘落潭に土地を借りて知的障害者の職業訓練所を設立したのがその発端だった。同年の7月、研修生と指導員らの努力によって農場での初めての果物が収穫され、皆とても喜んだ。

労働を学び、生活を学ぶ

農場の指導員は、新しく農場に入ってくる研修生の特徴や能力に合わせて異なる任務を振分けている。農場では次第に独特な「生態系」ができてきた。最年長の阿ミャオさんは農場の資産と衛生の管理を担い、万華さんと嘉麗さんは身体が丈夫なため、肥料やりや草むしり、水やり等の力仕事を担当している。阿培さんは訪問者の接待、李端さんは皆の楽しませ役で、手品で雰囲気を盛り上げるのが好きだ。阿勤さんは、以前から続けている落ち葉拾いが仕事だ。新しく来た陳為和さんと陳為民さんは、指導員の手引により、簡単な農作業を少しずつ学んでいる。今では役割分担が明確になり、誰かが欠けてもならない状況だ。

慧霊農場は、「農場療法」を通じて大自然の中で研修生が技能を学び、社会に再び戻って自立した生活ができるようにしたいと願っている。社会に適応するため、通常の仕事と同じように、労働によって報酬が得られるようにしており、給料は時間計算で毎日8時間の仕事をすることになっている。しかし指導員によれば、研修生らの仕事はまだ8時間労働のレベルには至っていない。一番勤勉な嘉麗さんは、1週間で400元余りの給料をもらっていて、将来は美容室を開業し経営者になることが夢だ。今年は農場にきて6年目だが、次第に自分自身の夢が形成されてきた。

農場長と指導員は、毎日の農作業の管理と研修生に教えるほかに、研修生が直面する様々な生活上の問題にも対処しなければならない。また農場での生活は退屈することはなく、嘉麗さんと万華さんが堆肥の作業を終えた後、嘉麗さんは湿っぽい田んぼの中で巻き貝を集め、自分の部屋にしまっておく。更には暇があれば自分で植えたプチトマトを見て、小さな命の成長を見守っている。李端さんはいつもと変わらず元気に手品のトリックを披露し、阿培さんは部屋で静かに絵を描く。5年余り経って離れていく研修生もいれば新しく来る人もいて、農場は次第に大きくなっているが、ここは永遠に彼らの小天国なのだ。

農場管理の新しい課題

農場に住む研修生の年齢が次第に上がっていくにつれ、高齢化する知的障害者にどのように対応していくかという新しい課題に直面している。50歳になった研修生が全体の15%を占めるようになると、農場では研修生のホスピスケアについても注目し始めた。陳為民さんは53歳だが、ダウン症候群のため同年齢の人とくらべても年老いて見える。20代のころは実家で妹の子供の子守もできたが、次第に身体に変化があらわれ、聴力・視力ともにかなり低下している。張農場長は、知的障害者にとって最も良くないことは、外の世界から隔離されてしまうことであり、農場での生活を通じて大自然に親しみ技能を磨き、仲間と一緒に生活し交流することで、より質の良い生活環境を提供したいと願っている、と語る。

「彼らは特別な存在であり、社会からの差別は免れません。」農場で指導員として勤める唐さんは、すでに10年以上介護士の仕事をしてきたが、数年前に農場の研修生を連れて遊びに出かけたとき、市民の不理解によって研修生達がつらい思いをするという経験をした。今では一般市民の知的障害者に対する認知度と理解は改善されてきており、彼らが社会に適応できる可能性がより高くなってきている。

執筆者
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翻訳と校正 翻訳:川口晶子 校正:棚田由紀子、劉楠
メディア 《公益慈善週刊》2013年第25期

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