2013/07/15 by Tanada

雅安モデルの初期の模索: 私たちのお金はどうやって使うべきか?

20130715-1

蘆山(訳注: 四川省雅安市管轄の県で、2013年4月20日にマグニチュード7.0の地震が発生した場所)の震災者用の避難所に設置された「学習室テント」では、ボランティアが子供たちの手工芸を手伝ってあげていた。これは四川省現地のNGOである正軒公益が、中国扶貧基金会とインテル社が共同で実施している「雅安地域青少年援助プロジェクト」に申請し、基金会と企業からの資金援助を受けて、現地NGOが実行している活動だ。今回の震災後の再建への取り組みにおける社会組織(訳注:社会団体、基金会、民間NPOの総称)の協力のモデルの一つでもある。

20130715-2

「雅安社会組織・ボランティア・サービスセンター」は、すでに正式に活動開始しており、現在同センターでは、10数名の専属スタッフ、専門家とボランティアから成るチームが、社会組織に活動の場と関連サービスを提供している。

5月20日、政府、社会組織、専門家やボランティアが共に参加する研究討論会が成都で行われた。この会は、社会組織がグループ形式で震災後の再建に携わる主な地方政府機関と対話を行い、双方が相互理解を試み、真の意味での協力の第一歩を踏み出そうとするものだった。

4月20日に蘆山地震が発生した後、中央政府の民政部は4月22日に「四川蘆山マグニチュード7.0大地震の救済寄贈活動に関する公告」を発表した。この公告は、今後は民政部の寄付金専用の口座番号や、いくつかの特定の基金会を通じて一般からの寄付金や物資を受け入れることはせずに、個人や事業体が被災者の救済を趣旨とする公益団体や救援機関を任意に選んで寄付を行うことを奨励した。

政府がこのような積極的な合図を出したため、市民は自分の思いやりの行き先を理性にもとづき自由に選べるようになった。

その後まもなく、4月27日までの統計によって、公益団体のパフォーマンスに皆の期待の目が向けられた。基金会業界の第三者団体からの情報によると、全国で115の基金会がすでに被災者の救済活動に参加している、または震災後の再建活動への参加を確定しており、集められた寄付金と物資の合計は10.49億人民元で、この額は増え続けていた。

地震から1ヶ月余り過ぎたころ、皆の思いやりのこもった寄付金を受けたどの基金会も、似通った問題を抱えていた。それは、どのようにお金を使うかだった。四川大地震(訳注: 2008年)、青海地震(訳注: 2010年)、舟曲土石流災害(訳注: 2010年)など、自然災害による苦痛の度に、公益団体はこの問題への答えを見出そうと試みている。「お金は有効に使わなければならず、はやく使えば良いというものではありません」中国扶貧基金会の劉文奎秘書長はこのように記者に語った。これは多くの公益団体が共有する認識でもある。

では、何を以って有効なお金の使い方とするのか。「まず社会組織の中で話し合ってコミュニケーションをとり、共通の認識を形成し、政府による統一された計画の枠組みの中でもう一度自ら選択する必要があります。政府と社会組織が共に闘わなければ、お金を有効に使うことはできません」劉秘書長はこのように言う。

一つの試み: 政府が窓口を設立

地震が発生して間もないころは、ボランティアと社会組織が沸いて出る水のように被災地に向かう時でもある。このパワーを秩序正しく流れるように導くことができなければ、マイナスの効果を引き起こす可能性がある。四川大地震の後、四川省政府もこの問題の解決方法について検討していた。四川省共産党委員会の王東明書記が直々に推進して、政府部門と公益団体間の業務連携は、雅安地震後から急速に展開されていた。この連携作業は共産主義青年団四川省委員会が担当していた。

まず立ち上げられたのは、震災対策救援 社会管理サービス組連絡チームだった。しかし、すぐに一つの連絡チームではニーズを満たすことができなくなり、4月28日、共産主義青年団四川省委員会がまとめ役を務め、雅安地震対策救援 社会組織・ボランティア・サービスセンターが蘆山の街中のテント内に設立された。同センターは、四川省政府が社会組織に対する窓口を正式に設立したことを意味しており、また関連サービスの提供と秩序だった指導を行うことを目的としている。

「当時私達は、保障と物資等の供給のほか、3つのサービスを提供していました。第一には受付・登録係です。現地に到着した社会組織に登録してもらい、何ができるか、何をしたいか、どんなリソースを有しているかを報告してもらいました。第二には、団体の派遣を秩序良く行えるようにすることです。第三には被災地のニーズをまとめてプロジェクト化し、それを実施できる社会組織を積極的に探して連携することです」共産主義青年団四川省委員会の江海副書記は、「公益時報」の記者にこのように語った。

江海氏は、震災後の蘆山の中央通りについて感慨深げに次のように語った。「どの社会組織もボランティアも道路上にテント村をつくっており、生活条件はかなり厳しいところもありました」。このため、サービスセンターの責任者はボランティアをつれてテントを一つずつ尋ね歩き、各社会組織に、新設されたサービスセンターが何をするのか、何ができるのかについて伝えた。「当時私達は多くのボランティアに、インターネット、電源、飲用水や最新情報などを提供しました。ボランティアらはとても感激していました」。

時間が経つにつれて、応急対策・救済ボランティアが次第に帰って行くと、より専門性が高く、組織化された団体が現地に残った。「これらの団体が必要としているのは、より深みのあるサービスで、一杯の水や電源、情報ではありません。彼らが必要としているのは震災後の再建に対する政府の計画に関する情報と、彼らがそれに参加できるかどうかです。また、安定して再建に取り組める事務所も必要としています」。

この問題に直面し、共産主義青年団四川省委員会は、雅安市内の5000平米の事務所を無料でサービスセンターに提供した。5月4日、雅安市社会組織・ボランティア・サービスセンターは、内装工事が進行する中、ボランティアの緊急募集と情報発信の作業を開始した。

「このセンターがあるだけでは不十分で、全体的なシステムが必要です。各県にサービスセンターをつくり、町村レベルでサービスステーションをつくる必要があります」と江氏は語った。そして盧山の元「軒下事務所」がそのまま盧山県のサービスセンターになった。これまでに雅安市では既に1区6県で7つのサービスセンターが設立され、政府と社会組織間の連携と、社会組織へのサービス提供の機能を担っている。

震災後の再建が順次展開されるにつれて、センターの役割の範囲も次第に広がっていった。現在雅安市サービスセンターには、壹基金、中国青少年発展基金会、中国扶貧基金会、雲公益、友成企業家など、20余りの基金会やチャリティプラットフォームがすでに正式に駐在しており、登録をすませた団体は270余りにのぼる。

各社会組織間の交流と協力によって生まれる力は、相乗効果を発揮している。サービスセンターは各団体からの情報を集め、震災救済指揮本部に毎日1回の報告を行い、さらに特殊な事情のある場合にはその都度報告を行い、第一線からの情報を集めるとともに、プロジェクトの情報を発信している。

江海氏は、長期的な目標として、再建数年後には現地でNGOを養成したいと考えている。「インキュベーターのように、経験を有する多くの基金会と交流することで、雅安の草の根団体とボランティアも成長できると考えています」。

一つの集まり: 社会組織が共同で闘う

政府が窓口をつくったことは、政府が社会組織に対して和平のための握手を求めたことを意味している。同時に、社会組織の内部でも変化が起きている。それぞれが単独で闘い、各自で闘争する時代は終わりを迎え、協力とコミュニケーションにもとづき、声を一つにするということだ。

「四川大地震の後、私達は作業が非常に辛いと感じていました。現地政府とのコミュニケーションはうまくいかず、相当の費用がかかり、結局は各自がばらばらに活動していました」中国扶貧基金会の劉文奎秘書長は「公益時報」の記者にこのように語った。

「その時、同業者間でコミュニケーションをとり、政府と連携するしくみを持つべきだと感じました。この中でも特に重要なのが、各団体が集まって声を一つにすることです。理由は非常に簡単です。今日1つ、明日また1つと、各基金会がそれぞれ政府機関を訪問して、政府が計画している作業量について情報を求めますが、政府はこれらの団体がどのような組織で、何をしているのかは分かっていないからです」。

雅安地震の発生後、劉文奎氏と中国青少年発展基金会の涂猛秘書長、深セン壹基金公益基金会の楊鵬秘書長、南都公益基金会の劉洲鴻秘書長と、騰訊公益慈善基金会の竇瑞剛執行秘書長が、雅安で会合を開いた。

共通の認識はすぐに形成され、行動は震災後すぐに起こそうということになった。「この5つの団体がまず簡易な協調会を設立して、とりあえず活動を開始するとともに、より多くの団体を受け入れはじめました。この協調会は同業者が事前に内部でコミュニケーションをとり、震災後の再建過程におけるニーズと問題をまとめて政府に提示することを目的としています。協調会のその後については、追って考えることにしています」と劉氏は語った。

四川大地震と青海地震の混乱した状態の中で、現地の政府は積極性に欠け、公益団体の資源の配置と利用状況も最適ではなかった。社会組織に協力意識が生まれ、協力のための制度を試みているということは、震災を目前にして各自で闘うという協調性の無い状況を変えようとしていることの表れだ。

一つの会合:  より深く理解するために

雅安地震が一般社会からの寄付を受ける中で、深セン壹基金公益基金会、中国扶貧基金会、中国青少年発展基金会の3つの団体が、全体の募金額の約40パーセントを占めていた。そして、これらの団体が得意とするのは、緊急時の救援の段階ではなく、主に震災後の再建プロジェクトの実施であるため、資金を使用する主な対象も震災後の再建だ。

5月20日、中国扶貧基金会、四川省社会科学院、四川省扶貧・移民工作局、中国青少年発展基金会、そして深セン壹基金公益基金会が共同で主催した「四川4・20盧山震災後の再建研究討論会」にて、雅安市の各県・町の自治体政府のリーダー、現地NGOの責任者、ボランティア、そして雅安市社会組織・ボランティア・サービスセンターの責任者等が、一同に会した。

研究討論会の席上で、四川省発展改革委員会の発展計画事務所の鄭超所長は、震災再建の全体的な考え方と計画についての報告を行い、会場を後にした。その後、各基金会はそれぞれがこの1ヶ月間に行ったこと、これから何を行う予定か、また政府に期待することを発表した。また中国扶貧困基金会は震災後の再建におけるニーズ評価についての報告を行った。

この自己紹介のような会合の意義について、会合に参加した公益事業関係者はそれぞれ異なる理解をしていた。いくつかの基金会は、主なターゲットは舞台下の聴衆の一部だと考えていた。「発展改革委員会が進もうとしているおおよその方向が分かったこともですが、私達にとって最も重要なのは、被災した県・町の政府に、私達の団体がどんな組織か、何をしたいのかを知ってもらうことです」劉氏はこのように語った。

政府への要求と期待の中で、劉氏は「社会組織の独立性を尊重することは、寄付者の独立性を保護することです」と言葉を濁さずはっきり述べた。中国青少年発展基金会新協力工場の賀永強総幹事は、「再建に関する計画をできるだけ早く打ち出してほしいと思います。そして政府が支出できる資金はいくらで、足りない額はいくらでしょうか」と質問した。

これら二つの少々辛辣な発言は、避けて通れない質問でもある。地方政府の多くは、社会組織と近い距離で接触したことはない。「地方政府による最大の盲点は、お金の問題です。地方政府は基金会のお金は政府が統一して管理・計画するものだと考えています」劉氏は、四川大地震と青海地震の経験からこのように語った。

会合の最後に、会場にいた各県・町の政府の責任者一人一人が会合に対する感想を述べた。多数の団体の名称と種類を目の前にして少し戸惑っているが、少なくとも認識は深まり、双方の協力は大きく前進するだろう、と。これに対し劉氏は「今日の目的は達成できました」と述べた。

 

執筆者 閆冰
執筆者所属 公益時報
翻訳と校正 翻訳:川口晶子 校正:棚田由紀子、劉楠
メディア NGO発展交流ネットワークhttp://www.ngocn.net/?action-viewnews-itemid-87280

This post is also available in: 簡体中国語

Facebook Twitter 微博

CATEGOLY