2013/06/27 by Tanada

2012年の公益事情―事件編

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年末に当たり、中国の公益事業を振り返れば、平凡なようでいて、そうではない一年間だった。(雲南省)彜良の地震、北京の水害など、大きな災害の現場には、必ず公益のために働く人々の姿があった。さらに喜ばしいのは、人々の公益事業への関わりがより理性的になったことだ。そして、第一回慈善展覧会の開催、新しい「24孝」(訳注:親孝行の模範的人物24人を取り上げた儒教の書物「24孝」にちなんだ「新しい親孝行の勧め24項目」)の発表など、公益事業は今まさに私たちの生活のあらゆる場面に浸透しつつある。中国紅十字会は監督管理委員会を立ち上げ、児童慈善基金会には抗議の波が押し寄せ、公益団体は市民の厳しい目にさらされて、成長した。2012年の中国公益事業には、涙や笑いあり、反省あり、そして何より感動があった。

第一回中国慈善展覧会を開催

2012年7月12日から14日まで、第一回全国公益慈善展覧会が深センで開催された。全国から544団体が参加し、そのうち公益慈善団体は260団体を数えた。3日間の会期中、計10回のサミット、シンポジウムや記者会見のほか、41回の公益サロンが催された。サロンは、よく使われるブレイン・ストーミングの手法によって大変盛り上がり、中国の慈善関係者間における初めての総合的な展示と交流の場となった。政府・企業・社会団体が互いに学び合い、相互理解を深めたことは、中国の慈善分野におけるイノベーションと言える。

空気をぶち込まれた少年、北京で救われる

2012年7月12日、「空気をぶち込まれた少年」杜伝旺は、天使のママ財団の支援を受けて救急車で北京に移送され、北京八一児童病院にて更なる治療を受けた。2012年6月30日、山東省徳州市夏津県の杜伝旺は、とある自動車修理店にてアルバイトをしていた。同僚2人が(悪ふざけで)高圧エアーポンプを杜の肛門に向けてスイッチを入れたところ、杜は大腸・小腸などに30か所近い穴があき、内臓器官の多くがひどく損傷を受けた。胃の出血、肝機能衰弱などの症状も引き起こし、社会からも注目されている。杜の手術後、社会各界の篤志家が次々と寄付を申し出、すでに総額は90万元を超している。12月16日、北京八一児童病院で治療中の杜は、天使のママ財団が主催する院外活動に初めて参加した。現在、杜の回復は順調だが、人口肛門を作る手術が必要だと言う。事件の容疑者2名はすでに拘留されている。

「7.21」北京の大雨被害、北京―香港―マカオ高速道路建設作業員が救助活動

2012年7月21日、61年ぶりの大雨が北京を襲い、北京―香港―マカオ高速道路の下り17・5キロ付近にある南岡洼鉄道橋の下部には水がひどく溜まっていた。水深は平均4メートル、最深部では6メートルに達し、数十台の自動車が水没して、百人以上の人命が危機にさらされた。まさに一刻を争う時、工事のため付近に泊りこんでいた150人の農民工たちが、自分たちの身の危険も顧みず、水に入って救助活動をおこなった。浮輪を投げ、縄を結び、閉じ込められた人のために命の橋をかけて、200名あまりの救出に成功した。7月29日、60人あまりが感謝の旗を持って北京市豊台区河西再生水工場プロジェクト部を訪れ、7月21日の大雨被害で彼らの命を救った農民工に感謝した。旗には金色の文字で、「命を救い、負傷者を助けた行いには、厳粛な正義が宿っている」と縫いとりがあった。

新しい「24孝」を発表

2012年8月14日、全国婦人連合会高齢者調整事務所、全国高齢者事務所などが共同で、新たな「24孝」行動規範を発表した。伝統的な「24孝」に比べ、今回発表された現代版は、より簡潔で覚えやすく、口に出して唱えやすい。「親にインターネットを教えよう」、「親のために適切な保険商品を購入しよう」といった、現代生活に結び付いた行動規範に止まらず、「ひとり親の再婚を勧めよう」、「親の来し方を詳しく聴いてみよう」というような、固定観念を打ち破る内容や高齢者の心理的ケアにも踏み込んだ内容が掲げられている。2012-2013年度は、北京・上海・天津・重慶など15の都市で「お年寄りへの思いやり―孝行プロジェクト」が展開され、孝行PRブックレットの無料配布、新「24孝」の内容を伝える歌や童謡のキャンペーンなどを行った。広く社会に高齢者を敬い、愛し、助け、孝行することを呼び掛け、幅広い高齢者が恩恵を長く実感できるよう訴えていく。

彜良の地震、大いなる愛を集める

2012年9月7日11時19分、雲南省昭通市彜良県でM5.7の地震が発生し、1時間後に再びM5.6 の余震があった。74万4千人が被災する重大な被害に対し、中国各地、社会各界からの援助が彜良に続々と集まった。軍隊や武装警察が遠方から駆けつけて捜索を行い、壹基金、藍天救援隊、広東ライオンズクラブ、北京緊急救援基金会などの民間団体も緊急出動し、負傷者の移送、泥の掻きだし、救援物資の募集と配布など、ボランティアは救援活動の重要な一翼を担った。不完全な統計ながら、地震発生から10日間で、彜良県で活動したボランティアの数は三千人を超えたと言われる。12月13日、雲南省監査庁が発表した9月7日の彜良地震に対する中国全土からの救援資金と物資の追跡監査結果によると、10月20日締めで雲南省全体で3億3,339万3,300元に上った。

雷鋒日記の大規模な書道展が北京で開催

50年に亘り綿々と伝わった日記により、雷鋒の人生を読み解く展覧会。2012年9月28日、軍事博物館にて、中国書道家協会、中国人民革命軍事博物館、中国社会福利基金会雷鋒学習基金管理委員会が共同で開催する「偉大な人生を書にする――雷鋒日記大書道展」の幕が切って落とされた。今回の書道展には、将軍・省クラスの官僚、書道家141名が雷鋒の日記を題材として制作した141幅の作品が出展された。内容は、理想信念、学習進取、人助け、勤労精神、刻苦奮闘の5つのテーマに分かれ、それぞれ楷書、行書、隷書、篆書、草書体で雷鋒日記の名言名句が書かれている。展覧会では、雷鋒の筆跡や写真と書道作品を一体化することで、雷鋒日記の深い内容と大きな魅力を芸術的に再現しており、愛し、信じ、学ぶべき真実の雷鋒の姿を社会に提示している。

ごみ箱内で暖を取った貴州省の児童5人が中毒死

2012年11月16日、貴州省畢節市の児童5名が、寒さを逃れようとごみ箱にもぐりこんで火を起こしたところ、一酸化炭素中毒で死亡した。この5名の児童の年齢は、7歳から13歳まで。この悲劇は、瞬く間に街にたむろする困窮児童に対する中国社会と市民の注目を集め、ネットユーザーはこれを現代版の「マッチ売りの少女」に例えた。この5名は七星関区海子街鎮擦槍岩村に住んでおり、4名は通学をしていない状態であった。教師が何度もかけあったが、「成績が悪い、勉強したくない」といった理由で通学を拒否していた。5名はしばしば誘いあって遊んでおり、時には数日間家に戻らず、現地の派出所が彼らを家に届けたことが何回もあったという。事件の発生後、畢節市では全市を範囲に集中調査を開始し、街をうろつく未成年や、親が出稼ぎで不在の児童、障害のある学生、通学していない児童などについて全面的な調査を行い、支援措置を確実に届けたいとしている。

2012年北京国際マラソン、公益活動とマッチング

11月15日、2012北京国際マラソンが開催された。スタートは天安門広場で、今回は「チャリティマラソン」というスポーツの試合を慈善活動に利用するモデルを打ち出し、スポーツと慈善活動のより良い融合を願って行われた。「子供に運動靴を贈ろう」公益プロジェクト、中国青少年発展基金会、中国扶貧基金会、中国緑化基金会、セーブ・ザ・チルドレン、河北進徳公益基金会など多くの慈善団体から600名近い選手がチャリティマラソンに参加した。中国扶貧基金会の善品ネットがこの活動の公式プラットフォームとなり、ネット上でチャリティバザーを行った。

中国紅十字会が監督管理委員会を設置

中国紅十字会は、2012年12月10日に記者会見を行い、紅十字会の活動や寄付された金品の使用状況などにつき、社会監督委員会を設立して監督を行うと発表した。

2011年、「郭美美事件」(訳注:2011年、華美な生活をブログに綴っていた若い女性が、紅十字会の関係者だと名乗ったため、同団体の資金管理に疑義が噴出した)の発生後、紅十字会が中国全土から受け取る寄付金は激減し、信用は失墜した。社会監督委員会の設置は、同会が再び信頼を取り戻す[y3] ことができるかどうかの重要な一歩だと認識されている。社会監督委員会は、中国(海南)改革発展研究院の遅福林院長が主任、中央編集翻訳局の兪可平副局長が副主任に就任し、王振耀、白岩松といった15名の各界著名人が委員を務める。委員の監督範囲は、以下の3方面だ。1:紅十字会の戦略発展計画に意見を提出する。2:同会の財務、寄付、プロジェクトと全プロセスについて監督を行い、公開すべきものについては、速やかに公開するよう同会を督促し、重要プロジェクトの進展状況も監督する。3:社会のあらゆる方面から同会に対する意見や提案を収集する。

まず「出国」、あとから「精算」、児童慈善会にトラブル続出

10月29日から11月6日、中華少年児童慈善救助基金会の9名が海外視察を行った際、寄付金を使用しているのではないかという疑惑が持ち上がった。その騒ぎも冷めやらぬ中、12月10日に財務諸表の問題で同会はふたたび注目の的となった。著名なスクープハンターの周筱赟氏は、同会の2011年の会計項目の内、48億元近い資金が消えており、マネーロンダリングの疑いがあるとブログに発表したのだ。10日夜、同会は公式ウェブサイトにて声明を発表し、「絶対にマネーロンダリングは行っていない」とした。見直しの結果、年度報告の数字に小数点の打ち間違いという誤りがあり、4.75億元を47.5億元としてしまったというのだ。12月12日、同会宣伝広報部の部長補佐・姜瑩氏は、あるテレビ番組にゲストとして出演し、周筱赟氏の質問に答えながら、当日銀行で取ってきたという68ページに亘る計算書を示し、スキャンしてウェブサイトに公開すると約束した。翌日、同会は更に市民の理解を得るため、会計監査・法律・メディアなどの専門団体に依頼し、市民から疑義の出た問題について更なる調査を行い、社会に対しより全面的で系統だった詳細な回答をするとして、13日には銀行計算書の単独での公開はしないとした。同会は現在内部監査と外部監査の用意をしており、すべての資金の出所をしかるべき時に公開するというが、公開のタイムスケジュールは明らかにしていない。同会の勝手なやり方は市民の更なる疑惑を呼んでいる。

執筆者 李躍 温雅楠
執筆者所属
翻訳と校正 翻訳:松江直子 校正:棚田由紀子
メディア 中国発展簡報 NGOニュースhttp://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/newsview.php?id=6694

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