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2013/06/04 by Tanada

中国の多くの地域で環境容量が臨界点に ~高まる一方の社会の関心

20130604-1

私たちの発展は、環境容量を考慮しなければならない段階に既に来ている

環境保護部政策研究センター主任・夏光氏訪問記

近ごろ、スモッグの立ちこめる日が続き、水汚染の事件が頻繁に発生しており、環境に対する社会の関心がこれまでにないほど高まっている。本紙記者の訪問に応じた環境保護部政策研究センター主任の夏光氏によれば、環境容量が既に臨界点に迫っている地域は少なくなく、汚染が環境の受容能力を超えているとすら言える。我が国の発展の法則を根本的に改め、環境容量という制約を利用して経済・社会の発展をレベルアップさせることが求められている。

記者:主任はなぜ、我が国の発展が環境容量を考慮しなければならない段階に既に来ているとお考えなのでしょうか。

夏光氏:現実に起こっている状況のせいで、私たちは環境容量について考えざるを得なくなっているのです。近年、我が国の発展のスピードはとても速く、毎年新たに増加する生産能力は非常に大きく、新たに増加する排出量もとても多いのが現状です。しかし、環境容量は一定であり、その受容能力には限界があります。現在、環境容量が既に臨界点に達している地域は少なくなく、汚染が環境の受入能力を超えているとすら言えるでしょう。

(受容能力を)超えれば、スモッグや深刻な水汚染の事件などが絶えず発生する可能性があるわけですが、今このことを皆さんは身を以て感じています。これは、経済・社会の発展と環境の間の関係が、比較的緩やかなものから徐々に切迫したものへと既に変わりつつあるということを、直接に現しています。そのため、私たちは発展するうえで環境容量を考慮し、これによって発展の速度と規模を制約する一方、発展の質を上げなければなりません。

記者:それは我が国の発展の法則の根本的な変化を意味しているのでしょうか。

夏光氏:そうです。環境容量を考慮せず、資本の絶え間ない投入によってしか発展しないという時代は、既にもう過ぎ去っているのです。そのため、第18回共産党大会(以下、十八大)の報告では、最も厳格な環境保護制度を実効する必要があると述べられています。このような指摘は、以前の報告にはありませんでした。

ここでひとつ私が提起してみたい理論的問題があります。それは、我が国が現在抱える主な矛盾についてですが、以前はひとつだけでした。つまり、日増しに拡大する民衆の物質文化に対するニーズと、立ち遅れた社会の生産の間における矛盾だけでした。しかし、今日、もうひとつ追加する必要があるのかもしれません。それはつまり、発展の速い経済・社会の資源・環境に対するニーズと、我が国の比較的脆弱な生態環境及び限りのある受容能力の間の矛盾というものです。

これは、部屋の中に座して考えついたものではなく、民衆の現実の訴えなのです。「まず新鮮な空気を吸わせてくれ、きれいな水を飲ませてくれ、他の問題はそれからまた考えよう」-人々はこう言っているのです。

記者:では、この根本的な転換というのは、どのようにすれば実現できるのでしょうか?

夏光氏:まず、環境容量の規模を確定しなければなりません。ある地方の大気やある河川の水が、これだけは受容できるという汚染物質の量です。これを超えなければ自浄されますし、超えれば汚染となります。環境容量を確定した後は、構造調整や産業のグレードアップなどの様々な方法で、排出規模の大きい生産能力を、環境容量の小さい地方から移転させます。また、工業団地を建設し、工場をそこ1カ所に集めて統一的に処理をすることで排出量を減らすといった方法もあるでしょう。

現在、積極的に対策をとっている地方は少なくありません。例えば北京の場合、首都鋼鉄を移転させましたが、実際のところ、首都鋼鉄の排出量は基準をクリアしていました。北京の環境容量の許容範囲を超えていたというだけです。また、広州の場合、二酸化硫黄の排出も計画上の量を超えてしまったため、もし新たなプロジェクトを開始したい場合には、何とかしてこの排出量を削減しなければ実施できません。

記者:もし整理するとすれば、これらの措置には主にどのような分野の取り組みが含まれるのでしょうか?

夏光氏:全体としては、5つの分野の取り組みがあります。

1点目は、行政的措置です。つまり、ある地方の環境容量に基づき、超えてはならない排出量もしくは減らさなければならない量を規定し、これを各企業、各単位に配分するわけです。これは、方法を問わず達成しなければならず、もし達成できなかった場合は、これに関係した企業は操業を停止するか、移転しなければなりません。

2点目は、法律的措置です。これは、法律法規を十全なものとして、排出量の基準を制定し、これを超えたものについては規定に基づき期限までに対処する、もしくは生産を停止したり排出汚染費用を倍徴収したりするといったものです。もし環境汚染事故を起こした場合には、さらに関連する法律法規に則り、民事賠償の請求、さらには刑事責任の追及まで行わなければなりません。

3点目は、経済的措置です。例えば、排出権取引が挙げられます。環境容量に基づき、ある地域の排出汚染量を各企業に配分し、他の企業が進出してくる際には、元々いた企業から排出汚染量の枠を購入しなければならないというものです。一般的に、新規に参入してくる企業の環境保護技術は、より先進的で効果もより優れています。他方、元々いた企業は、排出汚染権を売却した後、操業を停止する、移転する、生産品目を変更する等しなければなりません。

4点目は、社会的措置です。これは、世論を含む大衆の監督のことです。ある企業がもし規定の排出量を超えた場合には、言うまでもなく法律等の手段で罰するわけですが、仮に基準をクリアしていたとしても、周辺住民が受け入れることができず、深刻な生活の妨害になっていると考えている場合には、許されません。現在、この分野でも、ますます要求が厳しくなりつつあります。

そして最後が、技術的措置です。これは拘束的なものではなく、サポート的な措置です。技術を向上させた企業は、操業を停止したり、移転したりしなくてもよくなります。

現在、これらいくつかの分野における措置はいずれも運用中ですが、さらに十八大の精神に則り、最も厳格な環境保護制度を実施し、これらの措置を完全なものとすると同時に執行もより厳格にしていく必要があります。

記者:一部の地方政府における環境保護の仕事ぶりには確かによく批判が集まっており、(取り組み等を)多く掲げるが、実際の取り組みは少ないと思われています。これについてどのようにお考えですか?

夏光氏:過去、私たちの環境保護に関する法律法規はそれほど厳しくなく、執行の力量と水準も不足していました。経済・社会が速いスピードで発展することで発生した多くの環境問題に対し、一部の環境政府は管理をうまくできなかった、あるいは管理しきれなかったわけですが、一刻も早く環境保護に係る執政能力を高める必要があるのは確かです。

私は、その中で一般市民の参画と監督が重要な力になると考えています。市民が批判をしないと、政府は自身の過ちがどこにあるのか分からないときがあります。ひとたび批判をし、「やじ馬見物」をすれば、それは政府にとっては更なる改善の圧力と追い風となります。もちろん、その一方で市民に対しては、政府に改善に必要な時間の猶予を与えてもらい、相互理解、相互支持という一種の好循環を作り出してもらえたらとも思っています。

記者:政府と政府職員の評価・考課基準について、いずれも相応の調整をする必要はあるのでしょうか?

夏光氏:それは間違いなく必要です。十八大の報告が出て以降、生態文明の建設が、経済建設、政治建設、文化建設、社会建設という(過去の大会の報告で挙げられてきた4つの基本方針)の各分野及び全プロセスに組み入れられました。では何を以て政治建設への組み入れと言うのか、その重要な一側面が、政府及び政府職員の評価、考課、そして任用システムの中に具体的に表れてくるのです。

現在、環境保護の分野に関して、政府職員の評価及び考課においてはいずれも基準が一定度存在しますが、職員の任用においては実質的な制約は何もありません。これは間違いなくある程度変える必要があります。私の知る限りでは、関連する規則に関する研究が既に行われているようです。

記者:もしかすると、政府だけではなく社会全体にとっても、大きな変化が求められているのではないでしょうか?

夏光氏:生態文明の建設には、環境容量を発展の中に持ち込むことが含まれますが、これは大規模な社会改造運動です。その影響は、個人の観念や行為を含む様々な分野に及びます。例えば北京では、現在石炭利用総量が2,300万トンで、主に発電や工業生産、家庭の暖房などに使われていますが、大気汚染に対応するため、今後5年間で1,500万トンを減らす必要があります。

しかし、エネルギーの供給を減らすわけにはいきません。ではどうすればよいのでしょうか?ひとつの方法としては、発電所を、環境容量の大きい内モンゴルに建設するということが考えられます。ただ、結局のところそれでも汚染は発生するので、内モンゴルに対して一定の生態補償を支払う必要があるでしょう。その一部コストは、電力価格に上乗せされ、一般住民もその一部を負担しなければなりません。

また、暖房については、石炭ではなく天然ガスを利用するのはどうでしょう。排出量は少ない一方コストは高くつきますが、これも社会全体で分担する必要があります。これと類似したエネルギーについても費用が上がることで、皆さんの節約意識の形成や浪費習慣の転換も促されます。環境容量という制約のもと、皆が制限を受けますが、一方でメリットも享受できるのです。もし私たちがよい環境を追求するならば、その分、他で犠牲を払わなければならないということも、社会全体として認識しなければなりません。

記者:実際のところ、多くの人は、自動車の利用制限など既に環境容量という制限のことを感じ取っています。それでは、このような制限は、経済の発展に大きな影響をもたらしうるのでしょうか。

夏光氏:環境容量の制限が強まった後は、排出量が多く、汚染が深刻な一部の産業に対しては間違いなく影響があるでしょう。ただ、それと同時に、こうした制約は新たな需要を生み出します。そうなれば、排出削減や脱硫、大気浄化、汚水処理、緑化といった環境保護産業には、発展の余地が生まれることになります。

総じて言えば、人々の物質的な生活水準が高まった後には、生態環境関連の製品に対するニーズが高まる可能性があります。ニーズがあるということはチャンスがあるということで、経済の新たな成長の軸となり得るわけです。そのため、私たちは環境容量の制約による経済発展への影響について過度に心配する必要はありません。逆に、それを産業構造の調整、持続可能な発展を促すひとつの有力な手段として捉えなければいけません。

執筆者 高遠至
執筆者所属 中国新聞網
翻訳と校正 翻訳:三浦祐介 校正:棚田由紀子
メディア 中国発展簡報 NGO新聞報道http://www.cdb.org.cn/newsview.php?id=7393

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