2013/05/10 by Tanada

市民ボランティアの「草の根」の力

新年が明け、呉剣容さんは「古道公益」の8名のボランティアを連れて福州を出発し、車で140キロの山道を行き、貧困家庭の学齢期児童を実際に訪ねるため、福州永泰県にやってきた。

「これは、半月に一度行われる恒例の『フィールド調査』です」。リーダーである呉さんは中国新聞社の記者に対して説明した。つまり、実際の訪問を通して、学校側から送られてきた貧困家庭の学齢期児童のリストが真実に基づいているかどうかを調べ、確認した後でネット上に公開し、心ある人々からの寄付を受け、真にサポートを必要としている人が寄付を確かに受けられるようにするというわけだ。

山道を馳せ参じ、厳しい寒さの中でも、ボランティアたちは手を抜かない。家を一回りして生活環境をチェックし、近くに住む親せきを訪ねて状況を確認し、子供たちとおしゃべりをして緊張を解きほぐし……。

2012年5月、呉さんは、志を同じくする5名の友人とともに「古道公益」を立ち上げ、「フィールド調査」をこの組織のメインプロジェクトとした。半年余りで、彼と彼の仲間は160戸以上を家庭訪問し、貧困家庭の学齢期児童119名に対するサポートを行った。

現在、「古道公益」には80名以上の固定ボランティアがいる。「みんな、職業も生活もバラバラです。人のために何かしたいという思いから集まったのです」。本職は医師である呉さんは語る。普段は仕事が忙しいが、何かイベントがあると、みな時間を捻出して参加する。

公的なボランティア組織と違い、民間のボランティア組織は、ほとんどがボランティアの「労働」によって成り立っている。取材の中で、呉さんは、毎回のイベントの食事代や交通費は、みな参加するボランティアで割り勘にしており、寄付金は社会的な寄付と、ボランティア自身の寄付が財源となっていると説明してくれた。

このような「草の根」のボランティア組織は、一つや二つではない。福建省三明の永安市には、現地で「ネット上の孝行者」と呼ばれている「燕城愛心QQ群」がある。様々な職業を持つボランティアたちは、人のために何かしたいという気持ちから一つになり、自主的に周囲にある、「何かしたい」という情報を集め、QQ群を通じてその情報を発信し、ボランティア活動を組織して、「何かしたい」という思いをつなげている。

「私たちはいつも、社会福祉施設や老人ホーム、または貧困家庭に出向いて、一人住まいの高齢者に日用品を持っていったり、掃除をしたり、おしゃべりしたりします。」活動の内容について、幼稚園教諭の蘇麗花さんは簡潔に語った。彼女は「燕城愛心QQ群」のボランティア活動に頻繁に参加している。

自分でボランティア活動を実践するだけでなく、蘇さんはよく幼稚園の子供たちも連れて一緒に活動に参加する。「実際に行動することで、小さいころから、人のために何かする喜びを感じてもらえると思うんです。」

「みんないい人ですよ」永安社会福祉施設の高齢者、蔡錫禄さんは「燕城愛心QQ群」のボランティアについて語り始めると、親指を立てて見せ、記者に語った。年を取ると、特に何をしたいというわけでもなく、誰かに話し相手になってほしいのだという。「誰かが会いに来てくれれば、それだけですごく嬉しいんですよ。」

中国では、民間のボランティア活動は90年代初期から始まった。これは、市民社会の始まりの上で一つの重要な指標であると言われている。

この2年、民間のボランティア活動組織は少しずつ、元の単体の形から、合体して大きくなってきている。数万人のボランティアを持つ福建ボランティアクラブなどがその一例だ。2003年に数人から始まったものが、現在では福建省の各地に支部を持つまでなった。

発起人の一人である張複星さんは、かつてヨーロッパで留学していた際、欧米では民間ボランティア活動が盛んであるのを目の当たりにし、このようなボランティア理念を中国に持ち帰ろうと決心した。帰国後、張さんは自分の夢を実践し、福建ボランティアクラブを打ち立てた。ボランティアがどんどん増えるにつれ、張さんは思い切って自分の経営していた会社を手放し、クラブの運営に専念することにした。

「今は、世界にまだ『無償の愛』というものがあるのだということを信じない人が多すぎます。私たちも、始めたばかりのころは、実は疑いの気持ちを持ちながらメンバーになりました。でも、始めてみると、だんだんと他のボランティアに感動し、まだこの世界に真の思いやりがあるのだということを深く感じました」。2012年7月にクラブのチベット教育サポートのボランティアとなった王心曦さんは言う。教育サポートに携わる中で高山病に悩まされることもしょっちゅうだが、それらの活動を振り返ると、彼はやはり感動を覚える。

現在、中国の民間ボランティア組織は徐々に透明性を増し、規範を持ち、公正であることによって、世間から尊重されている。しかし、社会の端の方からからメインストリームに移行する過程で、彼ら民間ボランティアは多くの厄介な問題に直面している。

現実として、民間ボランティア組織の多くが中国国内の登録の問題を解決できないでいるため、法律上の地位が確立しないことにより、ボランティアの活動が制限されてしまうのだ。

しかし、この「ボランティア活動の最も良き時代」の中で、当初ヨーロッパで見た「ボランティア理念」に益々近づいている、と張さんは言う。呉さんも「もっとたくさんの人たちがきっと私たちを応援してくれます」と自信満々だ。

執筆者 郭熙婵
執筆者所属 中国新闻網
翻訳と校正 翻訳:三津間由佳 校正:棚田由紀子
メディア NGO発展交流網《公益慈善的“草根”力量》http://www.ngocn.net/?action-viewnews-itemid-86140

This post is also available in: 簡体中国語

Facebook Twitter 微博

CATEGOLY