2013/04/30 by jixin

【セミナー報告】 3/26 これだけは押さえよう!「NPOの政策提言/アドボカシーを成功に導く10のポイント」(2)

【講義メモ】

 

■項目1. アドボカシーは明確な目標を獲得するためにある。

・アドボカシーが何らかの成果を上げるというのは、何らかの状態に変わるということ。何も変わらなければ、アドボカシーが終わったとはいえない。そういう意味では、受益者の利益につながる明確な目標設定が必要であり、ビフォーアフターがはっきりしていることが大事。そうでないと、やってもあまり効果がない。

・その変化を起こすために、いつ誰にどう動いてもらえば課題が解決するかを考え、さらにその人を動かすためには誰にどうはたらきかければよいか、玉突き的に働きかけていくことが求められることも多い。ビリヤードのナインボールと同じ。アドボカシーは多対多のゲームなので、目標となるビリヤードのボールが何かを決めておかないと、皆の動きがバラバラになってしまう。目標が何か、固有名詞で示せることが大事。

・大きな目標としては、自然環境の保全云々でもいいが、アドボカシーで達成したいことは具体的に(短期目標で)。いきなり10合目にはいけない。あなたにとっての1合目の短期目標は何か、一つ一つクリアしていかなければならない。

・アドボカシーは外に向かって働きかけること。アドボカシーは自分の意見を述べることではない。アドボカシーはチームを作って、人を巻き込み、しくみを変えるのだから、自分の意見がどうであろうと結果を共有するものである。

・アドボカシーはあきらめることが前提。これはシビアにいうが、多くのNPOが機能不全に陥る原因として、環境保全を掲げたことがあらゆることに手を出してしまっていること。この社会はいろいろな利害が複雑に絡み合っているので、何かの利害を調整しようとすると、他の利害が浮かび上がっている。

・一つの組織でいろいろなことをやるのであれば、部門を分ける必要がある。それを最初からリスクヘッジするためには、最初からあきらめることが大事。

・行動すること。議論で終わったら意味がない。

 

■項目2. アドボカシーは独特のバトル/ゲームである。

・アドボカシーは基本的に戦いだが、ゲームの要素がある。そのため、ルールが与件されており、審判(ルールあるフィールド)もある。NPO制度に関するシーズのアドボカシーの場合、審判(活動フィールド)は国会、議員立法や行政の決定プロセスといったルールがあり、ゴールは衆参議員で過半数をとること。自分たちがどこにフィールドを置くかは大事。ゲームは、いくつかのステージを経てゴールとなる。リーグ戦のようなもの。一つずつ勝っていかなければならない。

・アドボカシーは戦いであり、ゲームではあるが、交渉ごとでもある。なので、喧嘩をしてはいけないし、譲ってはいけないところもきちんと決めておかなければならない。ここは削ってはいけないということをチームで合意しておかないと、すぐ内輪でもめて分裂してしまう。

・アドボカシーは先手優位。特に相手よりも力の弱い市民団体には大切。仕掛けられることも多いが、場面を区切って局面で先手をとる。何かが起こったらまずは考えて、分割し、自分が先手を採れるところを見つける。

・ルール無用の戦いの持ち込んでしまわないように、既存の社会的な課題解決方法や法制度を最大限活用する。例えば、政府の予算スケジュールや議員立法、裁判といった社会的なプロセスを無視すると、活動は破綻するだろう。

・アドボカシーには審判が必要。議会、選挙、裁判、国際機関など、社会的合意形成もしくは紛争解決の手段がある。失敗でも結果は出た方が良い。でないのは、もっともよくない。

・スケジュールは与件であり、自分たちの自由にはできない。選挙、国会の審議日程、法律の施行日、国際情勢など、あらゆることを想定しておく。

 

■項目3. アドボカシーはチーム戦である。

・アドボカシーは一人ではできない。どういう布陣でやるのを考えなければならない。スポーツと同じで、相手がどういう布陣やリソースをもってるかを分析し、こちらの布陣を決めなければならない。相手のチームを理解し、自分のチームを理解して、チームを作っていく。

・ここで3つのマネジメントが必要。1つはチームマネジメント、2つめはバトルマネジメント、3つめはゲームマネジメント。どうやってステークホルダーを味方につけ関心を得るか、マネジメント能力が重要。

・アドボカシーの工程の局面ごとに、誰に何をやってもらえばよいか、役割分担は変わる。チーム内で、自分・他者の貢献・役割を理解しておくことが大切。

・相手もチームである。NPOは脆弱で小さな組織だが、身動きのとれない省庁より強いパワーを発揮できることもある。相手の弱点をちゃんと見る必要がある。相手を1つの省庁だけに設定して闘っていると、それは相手の思うつぼ。

 

■項目4. アドボカシーは交渉事である。

・交渉では、相手との基本的信頼関係が築けるかどうかが重要。たとえ対立する相手でも信頼関係が築けなければ交渉できない。そのために、一度決めたことや段取りはきっちりと守る。相手との交渉で決めたことを、後で内部でひっくり返す「後ろから撃つ」ことはしない。

・交渉担当者がきちんと交渉できるように、内部でしっかりと議論し、一つ一つのことを曖昧にしたままにしない。

・はしごは外さない。国会議員は妥協し折れてくるのが当たり前。せっかく協力してくれたのに、市民が「何で折れてきたんだ」といってしまう。国会議員が闘っている間に、他の人を自分たちが説得する。十分シミュレーションが必要。

 

■項目5. アドボカシーは他力本願である。

・市民活動は他力本願。他人が動けるような状況を生み出すことが大事。アドボカシーも一緒。困っている状況を知らせ、自分に何ができるかという状況をシェアすることが大事。そのためのしくみを整えることが大切。

・アドボカシーは情報戦で、現代ゲリラ戦である。情報を持って、ランダムで戦いが起こるのが理想型。その主体性が大事。そのためには、共通の目標を持って、命令ではなく自発的に動けることが大切。

・一対一関係は普通あり得ない。政府と市民団体では政府が強い。政府に勝てるが市民団体には弱い組織を入れ、グーチョキパー関係にする。三角関係を複合的にどれだけ作ることができるかが、アドボカシーでは大事。それを複雑にすればするほど、相手は手が出せない。

・誠実であること。アドボカシーは他力本願なので、それを成立させるためには、誠実でなくてはいけない。嘘はつかない、ただしすべてを話す必要はない。

・フェアであること。プレーヤー同士がフェアでないとゲームが成立しない。相手がラフプレーになっても、こちらはフェアで。

 

■項目6. アドボカシーは結果責任である。

・アドボカシーは人のせいにしてはいけない。でも最終的には、自分がきちんとできるかだ。いろいろな状況が起きるのは、織り込み済みでアドボカシーをする。止めることも含めて結果責任となる。目標を達成できないのに、「よかった」といってはいけない。ただし、失敗は失敗を認める事が大事で、それを次の続けることが大事。逃げてはいけない。

・チームを作るということは、自分ではどうにもならないことがあることを認めること。自分が倒れても動けるチームを作っておく。

・どうしても今のチームでは成果がでない時には、チームをつぶすことも必要。体制を組み直す。

 

■項目7. アドボカシーには工程がある。

・アドボカシーには、工程がありPDCAがある。そのプロセスをきちんと踏むことが大事。また、分割して局面性を持たせることが大事。社会的なプロセスを理解して、それに合わせて提案する。

 

■項目8. アドボカシーには資源が必要である。

・アドボカシーをする団体は、人の問題、金の問題を軽視しやすい。金を用意して、安心してスタッフがアドボカシーに専念できるようにすることが大事。それを最初にどれくらいめどがつけられるのかが大事。

・アドボカシーにはお金がかかる。NPO法クラスの法律をつくるのに、約3000万円、5年ぐらいかかる。その6割は人件費。これは2–3人をアドボカシーに専念させるということ。お金や優秀な人材のリクルートが必要。

・自分がどう時間をかけるのかを、どう成果を挙げるのかを設定することが大切。

・ソーシャルネットワークなど、新たなテクノロジーは活用する。

 

■項目9. アドボカシーのリスクは誰かが負わなければならない。

・自分がリスクを負わなければ、人を巻き込むことはできない。自分の責任を負う範囲を決める。

・スピードとタイミングが大事。現場に責任を持たせ、その場で判断できるようにしないとタイミングを逃してしまう。

 

■項目10. アドボカシーでは成果のフィードバックが必要である。

・いろいろな人が自発的にアドボカシーにかかわれる状況をつくるためには、こまめに途中経過や評価を伝え、ステージの終了(目標を達成したこと)や勝ち負けを共有し、各自の次の行動・判断へとつなげていくことが大切。

・アドボカシーを引っ張ってきた団体が、その活動で創りだした制度によって利益を受けるようになっては駄目。そうなると、次の制度改革が必要になった時に、その団体が障害となってしまう。

・自分の大事なことは何か?これは自分が行うことでどういう意味があるのかを押さえないと、人生の浪費になってしまう。

 

(4)質疑応答

講義後、2人1組となって、ワークシートの記入と相互共有のための時間をとった。参加者のなかから、ワークシートを多く埋めることのできた3名を選んで記入内容を発表してもらい、それに対して講師がコメントを行い、ポイントを確認した。

発表の概要

①日本に来ている難民のサポートをしている。目標はもっとも進んだ難民保護制度をつくるということ。そのためのチームづくりをしている。具体的には、難民が人として暮らしていける尊厳を守ること。したがって、受益者は難民。最初にミッションとしては、新しい制度をつくるためのラウンドテーブルをつくること。今の現状では、テーブルがない。主要な敵は、外国人が嫌いな人。ラウンドテーブルをつくるために、政府を説得するために、NPO側で組織を作る。内閣官房に最初につくる。それを2年後までにつくりたい。お金は、まだ考えていない。自分がかけられるものは、何でもできる。

②小1の壁問題を解決する。具体的には、民間学童をたくさん作る。受益者は共働きの親としている。月3万円ぐらいで、学童を提供。遅くまで開所している学童を実現したい。そして、ゆくゆくは都型の学童を民間でできるようにする。そのために、代表が区議になったので、まずは区議会から圧力をかける。相手は、区議会、文科省、厚労省。交渉で譲れないところはまだ見えない。資金は、理事長のコンサルタント会社で稼いでいる。自分がかけられるものは、20代の人生。

③外来生物を減らす(アカミミガメ)ことに、まずは都市部から取り組みたい。受益者:自然を愛する人、被害を受ける農家。お金は未定。10年後位をめどにしたい。

→戦略の整合性が重要。受益者のビフォーアフターをしっかりしないとこけてしまう。

④耕作放棄地を有効活用したい。

→一つできないで、二つやろうと思わない。並行してやろうと思ってはいけない。モデル地区からやるのか、一挙にやるのか。それによって、闘う相手が変わる。絞らないとロジックは立たない。あれもこれもやるとうまくいかない。

 

•(松原)アドボカシーを成功に導くためには、目的を具体的に、相手にストーリーができるように一歩を踏み出さないと、ゴールにたどり着かない。

 

執筆者

 

執筆者所属

 

翻訳と校正

 

メディア

特定非営利活動法人 シーズ・市民活動を支える制度をつくる会(C’s)のホームページより転載:http://env-advocacy.jp/contents/e_2681.htmlの後半

 

 

This post is also available in: 簡体中国語

Facebook Twitter 微博

CATEGOLY