2013/04/03 by Tanada

小規模農業の経済力 台湾のCSA(Community Supported Agriculture:地域に支えられた農業)の事例

オーナークラブ

祖父の時代にあった、土地への愛着に立ち返ろうと、2004年、頼青松さんは台湾の宜蘭の田舎の一角に「谷東(オー ナー)クラブ」を立ち上げた。小規模農家との契約栽培の考え方に基づき、土地を愛し、計画性のある生産を経営理念としている。出資さえすれば、この田んぼ の「谷東(※1)」になることができ、有機米を食べることができる。言い換えると、「オーナークラブ」は、直接生産者(頼青松)と消費者(オーナー)を結 び付け、お互いウィンウィンの関係にある経営方式で、消費者は直接農民からコメを買う「農家直売」であり、大小の仲買人に搾取されることなく、民間で安定 した信頼ある生産・購買制度を打ち立てようというものだ。

※1:“谷東”の中国語の発音は“股東”(株主)と同じであることから、谷東=株主と解釈した。本編では、『オーナー』という訳語で統一している。

「オー ナークラブ」のメンバーは1年に3回、田植え、稲刈り、冬至に集まり、「オーナー」に対し、期間中の田んぼの耕作の様子や収支状況を報告する。現在のとこ ろ、既に何百戸という家庭がこの「協力ネットワーク」に加入している。また、予約購買方式も奨励されており、栽培や加工の工程を自ら公開し、誠実に有機農 業を行いたいという農民をサポートしている。彼らの生活を改善できるだけでなく、社会資本の増産も可能だ。

大王野菜ショップ

小 さいころから博士課程まで、友人たちからの愛称はずっと「大王」という王福裕さんは、2008年に台湾の花蓮の田舎の一角に「大王野菜ショップ」を設立 し、「Buy Local(土地のものを買い)、Buy Fresh(新鮮なものを買い)、農民をサポート」を3つのモットーに、有機野菜の生産・販売・配送ビジネスを始めた。これまでに、「サポートする農業」 の旗印を掲げ、野菜を食べる人が、長期にわたり安定して、農家をサポートする体制を築いてきた。王さんはこのように考えている。どんな場所にも人は住んで いるのだから、農家が安定して野菜を販売し、また消費者に良い野菜を提供するために、新鮮な良い農産品を消費者に提供する役割がどこでも必要であるし、こ れは自分の、農家に対する最大の責任であり、環境にやさしい農業を実施する小規模農家の活路を見出すことは自分の使命であると。

王さんの野 菜は他と比べて安くはないのも事実だ。「うちの野菜は特別な野菜だからです。朝収穫したら午後には発送し、次の日の朝には消費者のもとに届けます。」この 理念を実践するため、王さんは周辺の有機農業とだけ契約し、「地元産だけで、遠隔地の野菜は使わない」主義だ。出荷の一週間前には野菜の種類を公開し、前 日までに注文してもらい、農家に電話で確認する。次の日の朝には、自ら冷蔵車を運転して畑へ行き、取れたての野菜を選ぶことで、農家が野菜を冷蔵したり、 運んだりする負担もなくしている。配送は、速達か、自分で取りに来る2つの方式で行っている。このほか、「労働に対して野菜で支払う」方式も打ち出してお り、例えば野菜の分類、炊事、樹木伐採作業などを1日やれば、その対価として600ニュー台湾ドル相当の、その日とれた野菜や果物を受け取れる、というわ けだ。ショップの人材不足の問題も解決できるし、都会人に、近隣の土地での農業体験と感動を与えることもできる。

248農学市場

台 湾のWTO加盟とコメ輸入解放に反対して有名になった楊儒門さんは、2008年に台北という都会の街角に「248農学市場」を起こし、台湾の農業に新しい 活路と機会を見出すため、変わったやり方で台湾の地元の農産物を広めている。楊さんは有機・無農薬農業と農村での定期市の概念を結び付け、自ら産地を訪 れ、人と環境にやさしくという理念を持つ農家を探して市場に加わってもらい、消費者が市場で安全安心、無農薬の有機農産品を買うことができるようにしてい る。伝統的な野菜市場、スーパーマーケット、量販店とは異なり、「248農学市場」では、農家が直接自家栽培の野菜、果物、雑穀、その他加工品等の有機農 産物を売るという方法で、都会の消費者と産地の農家が直接対話し交流する場を提供している。

楊さんは、生産者と消費者が直接交流し、都会の 消費者が自然で無農薬の有機農産品を食べる長所を学ぶことによって、さらに有機農業生産プロセスと環境の永遠の課題を理解し、相互の信頼のある売買関係を つくり、消費者と農家を改めて結び付け、人の心と尊重と土地への思いを新たに作りたいと願っている。今のところ、台湾の400余りの小規模農家を結び付 け、台北地区に5つの市場を造り、二つの直売所を設置し、市場の生産品を団地や商店街にまで進出させている。2011年には、環境教育パークを作り、農業 を初級産業から教育サービス業に進化させ、環境にやさしい耕作方式を分かち合うことで、都会の人々に農作業を体験してもらい、農業の教育的な効用を発揮さ せている。

まとめると、彼らの刷新的なビジネスストーリーの背景として、古くからの台湾の農業、農村経済、農家の生計、また環境関連の問題 とその対策についてアクションを起こしたということだ。商業利益が人の弱点にもたらす誘惑にも負けず、若い小規模農家たちは常に「良心」を耕作の労働理念 に据えたまま、生産者側と消費者側を結び付けた。また、「健康」「公益」「市場」を相互に連携させ、それによって農家と農村が直面している問題を改善する べく、まずは仲介人の搾取を避け、そこから独特の「小規模農業の経済力」に発展させていくこ ととした。近い将来には、「小規模農業の経済力」は農家の生計の問題を助けるだけでなく、その自信を取り戻し、新たに社会の人々に認められ、尊重されるよ うになり、あるべき公平な扱いを受けられるようになる。さらに重要なのは、有機農業実践の永続的な発展を理想としつつ、新しい考え方と経営のモデルを提供 できることだ。

執筆者 江明修
執筆者所属
翻訳と校正 翻訳:三津間由佳 校正:棚田由紀子
メディア 《社会創業家》2012年10月号

http://blog.sina.com.cn/s/blog_70dcef4b0101a6r7.html

転載時、編集および要約しています

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