2013/03/13 by Tanada

一人っ子を亡くした家庭への配慮が初めて政府の作業報告に ~湖南の失独者は、ほぼ2万人~

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失独者(訳注:一人っ子を亡くした親たち)の数は日増しに巨大となり、精神的苦痛を耐え忍ぶ以外に、お年寄りの扶助者がいない苦境に直面しようとしている。

「一人っ子の父母をしっかりと把握して励まし、失独家庭(訳注:一人っ子を亡くした家庭)と一人っ子が障がいを持つ家庭は特に扶助する等の活動」。1月26日の湖南省第12回人民代表大会一次会議の開幕当日、失独家庭について初めて「政府作業報告」に取り上げられた。湖南省2万近くの失独者に対して、これは疑いもなく最もよい慰めである。

失独家庭に配慮し、彼らの精神や生活での苦しみから脱出できるよう援助する。実際に、多くの人がずっと努力をしている。省の「両会」で、省政治協商会議委員の劉激揚さん、申良方さん、姜新雅さんが連名で、政府はできるだけ早く失独家庭の養老扶助制度を確立すべきという意見を出した。省人民代表大会代表の薛開伍さんも失独者の専門養老院を建築し、失独者に精神的に更に多くの愛を与える関連議案を提出した。

【心の声】

彼は、家でぼんやりしながら、ひっそりと年老いていくことを思うばかりだ。

柳さんは57歳、しかし頭はすでに白髪、ちょっと見は70余歳だ。「毎日1時間余りしか眠れない、こんな状態で老けずに済むと思いますか?」。精神病を患った妻が壁一つ隔てた部屋で眠り、彼はいつもぐっすり眠ることが出来ず、長い間そのままの状態が続き不眠症になった。

8年前、柳さんは長沙市書院路で穀物油脂スーパーを経営、妻は幼稚園の先生となり、24歳の息子は仕事に就いたばかりで、小さな所帯の暮らしは幸せだった。その日、彼が誕生祝の宴会に参加しようと仕度していたとき、電話が鳴った。息子が不慮の事故にあったことを知らせる電話だった。妻はその場で意識を失って倒れた。

生活は続けなければならない。夫婦は徐々に悲しみを脱したが、妻は仕事に戻りたくなくなった。

妻はある日、麻雀館で「跡取りがなくなったんだろう、こんな大金、何に使うんだ」と言われた。妻は言い返すことなく、全身を震わせながら帰宅。この後、彼女は毎日泣き、まもなく病気になった。

妻を世話するため、柳さんは店舗を譲り渡し、自宅の3階建てビルを小さい部屋に分け貸し出した。自分と妻は3階に閉じこもり、野菜や薬を買いに外出するだけ。

柳さんは「私は他人から同情されたくないんです」と言うが、あるとき青果市場で知り合いに会ったら、相手はどうしても4元の野菜代を受けとらなかったそうだ。その同情の視線が、柳さんを何日も悲しませたと言う。

将来について、柳さんは奥さんが自分より先に逝き、このような辛い目に会わないことを望んでいる。

「私は養老院に入居できません。他の人は訪問してくれる人がいます。私たちは天涯孤独だ」。柳さんは自宅でぼんやりしながら、ひっそりと老いてゆくのを心から願っている。

【現状】

湖南省で失独者として名簿に載っている人は2万人近い。

調査では、現在我国の失独家庭はすでに100万を超えており、しかもその数は日増しに増えている。失独家庭現象はすでに非常に重要な社会問題となっている。

計画出産部の最新のデータでは、湖南についていえば失独家庭は18133人、そのうち常徳が3978人、長沙2321人、岳陽1690人、懐化1456人、株洲1047人、湘譚1034人となっている。

一人っ子を亡くした父母の年齢はほぼ50歳、家庭に起きた重大な異変のせいで、彼らの多くは高血圧、心臓病、ガン、うつ病を患い、精神と身体状況があまりよくなく、生活が困難だ。更に、失独家庭の多くは老後が非常に厳しくなるという問題に直面しており、安らかに晩年を過ごすというのは、彼らが触れたくない話題となっている。

提案

◆省政治協商会議委員の劉激揚さん

失独家庭の養老扶助システムの確立

「省政府は出来るだけ早く《湖南省失独家庭養老扶助制度に関する意見》」を公布し、失独家庭の養老扶助体系を確立すべきだ」。劉激揚さんは、先ず大幅に失独家庭の扶助基準を引き上げるべきだと説く。現在の国の補助基準に基づき、湖南省の補助基準を高めることを提案している。次に、日常の補助の他にも単発の補助を与えることを提案、資金は財政から特定項目の資金を案配し、省、市、区県(市)が比率に応じて引き受ける。他にも、民生部門は養子条件をゆるめ、失独家庭が合法的にもらい子や養子を取れる基盤を構築し、彼らが社会の孤児をもらい子や養子を取りやすいようにすることを提案している。

◆省人民代表大会代表の薛開伍さん

失独者専門の養老院の建設

「多くの失独老人は既存の養老施設には絶対に住みたくないと思っている、同じ境遇の者同士で互いに慰めあうことだけを良しとしている」。省人民代表大会代表の薛開伍さんも、ずっと失独者のコロニーに注目してきた。彼は政府出資によって失独者専用の養老施設を設立することを提案している。このほか、管理部門も精神的に気配りし、失独者の孤独を解消して彼らが「誤解と差別」に対する敏感な心理状態から抜け出せるよう援助する。「民政部門は『独立した養老院』を建て、そこに一人っ子を亡くした父母を集める。彼らを互いに慰めさせ、共に晩年を過ごせるようにすべきだ」。

翻訳と校正 翻訳:岡田由一、校正:棚田由紀子
メディア 出典:《中国発展簡報告》の《NGO新聞報道》 『关怀失独家庭首入政府工作报告 湖南失独者近2万』を、転載および翻訳http://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/newsview.php?id=6862

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