2013/03/13 by Fancy

東アジアネットワークへ:韓国世界自然遺産「済州島」の現状

今年の1月に、本プロジェクトは中国環境分野の代表者たちを屋久島に招致し、現地と内容が濃い交流をしてきました。そのなかで、屋久島ウミガメ館の長年継続されてきた保護活動に中国の皆さんはたいへん感心し、しかし同時に彼らがいま置かれている経営危機にショックを受けました。あんなに大きな成果を挙げながらも、資金問題に苦しんでいることを知り、皆さんは早速会員になったり、国際的支援を紹介したり、何か協力せずに居られませんでした。上海でボランティア活動を企画・実施している張さんは、ぜひこの夏に、上海の日本語ができる高校生にウミガメ館の調査・保護活動に参加させたいとその場で提案しました。
一瞬、目の前に、日中の学生ボランティアたちが一緒に砂浜で漂着ゴミを拾う風景を浮かんできました。東アジアは海でつながっています。海がテーマの連携もいいではありませんか?

この提案はいま着々と進められているそうで、近いうちにその続きをご紹介したいと思います。

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今回のコラムは、海でつながっているもう一つの世界自然遺産「済州島」を、韓国の鄭智允さんの寄稿でご紹介させてください。(屋久子)

あなたは済州島という島を知っていますか?

済州島は、日本ではドラマのロケ地としてその美しい景色が知られ、今は日本からも多くの観光客が訪れている。ここで、少し済州島について説明してみよう。済州島は、韓国の最南端に存在する火山島で、韓国でもっとも大きい島であり、韓国でもっとも面積が小さい広域自治体でもある。島の真ん中にある漢拏山(ハンラサン、休火山、標高1,950m)は、約360の側火山につながっていて勇壮な景観を形成している。

今や世界的に有名となったこの島には、かつては200とも言われる村があった。村をつくる際、人々はまず本郷堂という神堂を立て、この本郷堂を中心に村の結束を高め、コミュニティを形成させていったのであって、先祖代々から受け付いてきた風俗を大事している村が多い。

むかしからこの島を表す言葉として、“三多”という慣用句がある。三多とは、「石と風と女の3つが多い」という意味で、火山島であるため、①火山の噴火により流出した火山岩が多い、②台風が度々通過する上、季節風の吹く地域である、③かつては漁労のため海に出て遭難するなど男性の死亡率が高かった、ことに由来している。海に出て帰ってこない男たちの代わりに女たちが海を相手に生計を成していた。そのため現在も済州島には多くのアマが活動している。

島の歴史は「抑圧と収奪」の続きであった。3~4世紀にこの島には耽羅国と言われた。しかし建国以後、16世紀初に朝鮮王朝に併合されるまで、朝鮮半島に次々と誕生する王国―百済、新羅、高麗に朝貢するはめになった。朝鮮王朝時代は、本土で罪を犯した者の流刑地として使われた。日本の植民地から解放されてからは、北朝鮮とは別に韓国独自の政府が誕生することに反対する済州島の左翼団体とそれを阻止しようとする島の右翼団体・政府との間に起こった武力衝突(済州島4・3事件、1948年)によって、1万人を超える島民が虐殺されたと言われている。

このように苦難の歴史を辿った島は近年もう一度転機に直面している。済州島は2006年7月から済州特別自治道(現在の行政区域としての名称)となり、国防・外交・司法を除くすべての自治権が保障され、特に、教育・医療・観光部門における大々的な開放政策が行われるようになった。2007年6月に、済州島はユネスコから世界自然遺産(「済州の火山島と溶岩洞窟群」、韓国初)に指定され、国内外からその自然保護への関心が高まった。一方で、観光による済州島の経済発展を狙う政府は、多くの観光客を誘致するため、大規模な開発事業を行っている。

とりわけ、近年には、近年漢拏山周辺の大規模リゾート建設のための開発許可、観光地を助成するための干拓地の埋め立て、観光名所におけるロープウェイの設置、そして海軍の基地設置など、島の開発と土地利用をめぐる議論がたてつづけに起きており、収まる気配がない。特に、開発許可を出そうとする行政側と環境破壊を危惧する済州島の住民や市民団体との間の対立は増すばかりである。

1970年初、約30万人だった人口は、2011年12月現在、約59万人と急速に増加している。観光地開発・教育の開放等によって、本土の多くの人々が済州島へ渡ったことが人口増加の原因の一つである。また、息苦しい都会の生活から逃れ、スローライフを目指し済州道への移住を決意した人々も増えている。その結果、不景気に直面している韓国としては異例なことに済州島の不動産の価値は上がる一方である。一方で、人口急増に社会的インフラが追いつかず、住宅問題、教育問題、廃棄物処理問題等々、都市で見られる社会問題がこの島にも発生している。そして、島の人と移住してきた人々との間での融和も島における社会的課題として指摘されている。移住を決心した者は島特有の文化と歴史を知る努力が必要である。さらにそれとは別に、年間800万人にものぼる観光客が訪れていて、島の社会問題はまずます深刻化していくと思われる。

島の歴史と文化やその自然、そしてそれを守り続けてきた島の人々の努力ははかり知れない。人間が自然との共存を願うのであれば、まず、島をありのまま尊重して受け入れること、もっと知ろうと努力することから始まるべきであろう、それは口先だけでは果たせない。今も島とその環境を守ろうとする人々の戦いは続いている。

執筆者: 鄭 智允(ジョン・ジユン)
所属: 地方自治総合研究所 特別研究員
メディア: 寄稿

以上、鄭智允さんが済州島の現状を簡潔的にまとめてくれました。それらのポイントをつかんで、今後、島が抱える問題をより深く分析し、また問題解決に取り組む人たちの実践をも紹介したいと思います。乞うご期待を!(屋久子)

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