2012/11/28 by Matsue

災害時の救援では誰もが第一線を争うべきか(下)

 

より続く)

災害後の情報の混乱

救援の第一歩は、災害状況を把握することだ。施氏は災害情報を現地から得ることに言及し、防災や災害防備の観念は地域レベルに落とし込むべきだとした。台湾では地域組織の責任者を隣長といい、地域の人数、被災状況などを把握し、また上級機関に報告しなければならない。例えば、土石流が発生した時、その発生が速いので、避難場所は事前に準備しておく必要があり、災害が発生した際に、極力焦らないようにする。

「わたしの職員もこう言っている。これらの災難は小さい時にもあったが、その時に我たちは学校の講堂に避難し、災難が終わると、家に帰って日常生活に戻っていた。どうして『88水災』のようになったのか。(88水災では)ある人は(避難場所から)家に帰らないことを選択した。援助物資を受け取れない、また少ししか物資が受け取れないことを恐れたからだ。人々はまたあちこちにたらい回しにされ、正常な生活に戻るまでに時間がかかった。何故このようになったのか?」と施氏は言う。彼らもこれと類似した意見をもらったため被災状況が一段落した時に、彼らは地方行政部門の役人を山へ案内し、当地で何が発生し、すべての処理過程でどれが検討に値するかを了解させた。

例えば6・12の水害(訳注:2012年6月12日台湾中部を襲った豪雨被害)では、6月28日に施氏は桃源村の社会局局長と一緒に山へ登り、災害の修復状況を見て、何が検討され、改善される必要があるのかを把握しようとした。「情報がちょっと混乱しており、住民は些か投機的になって、避難所に行けば、見舞金や資源が入ってくると思っていました。更に子供の就学問題を心配している人もいました」。施氏は言う。幾つかの村は、村民を強制的に撤退させ、どうしても残らなくてはならない人のみが留守を守ることになった。しかしいくつかの団体はいろいろな手段でそこに強引に入り、物資を放出してしまった。「ある住民は撤退しなくても大丈夫だと思うかもしれません。そうなれば、ほかの住民は混乱し、(指示に従わず)撤退しない住民の方が却っていい生活を送れると思ってしまいます」。民間組織が無理やり被災地に入ることには危険がある。自分たちは被災地でどんなサービスを提供できるか、それとも自分たちが逆に被災地の負担になるかは熟考すべきだ。たとえ被災地に入っても、現地の風土や人情に照らして、差し障りがないかどうか考えるべきだ。

次の段階では、とりまとめ団体がどんな物資を送るべきかのコーディネートを行うが、救援が必要なら、救援団体に連絡する。台湾の民間災害救助団体の中には救難スタッフを専門に訓練する団体がある。施氏の所属する財団法人介恵社会福利慈善基金会は情報収集から始める。従業員は現地の人で、被災地に身を置いているため、様々な状況の処理を行う。例えば緊急に必要な薬が足りない時には、空中投下などを手配する。避難所にいれば、行政がどのような組織を入らせる必要があるかを理解するなど、情報整理のような作業をしている。

地方行政部門は、組織を厳しく検査し統一しなければならない。被災地へ入って後、救援団体はそれぞれ異なる専門を持ち、各種の災害にはそれぞれ異なる救援方法がある。「ある災害には生存者救出のタイムリミットがありますが、土石流のようにそれがまったくない救助もあります」。台湾の「88水災」の時、村全体が土石流に埋まった状況で、掘るか掘らないかについて、「私たちは検討の末、慌てて掘削を行ってはいけないという結論に達しました。というのも、土石流の力は非常に大きく、容易に人の体を引き裂いてしまうからです。例えすぐに掘ったとしても、遺体の損傷が激しく、遺族がこの状況に直面できるかどうか」施氏は次のように言った。「その時はこの作業を一時停止し、家族と意思疎通をしました。そして、家族がその地のままでの安息(埋葬)に同意したため、再び掘らないようにしたのです」

被災地にもう危険がないことを確認して人を残す時、道路状況が良くないため物資輸送に問題があり、被災地の人々の生存に影響がある場合は、空中投下を選ぶ。

救援に入って後、どのように被災者を避難させるかは、行政部門のコーディネートが必要だ。88水災の後、台湾赤十字会と政府は災害予防センター、避難センター、緊急収容センターを協力して作り、政府部門はどの場所にどのような人を避難させていいかを把握し、災害の初期段階で政府が采配をふるった。民間は人的資源を提供し、政府の業務配分を受け入れた。スタッフが着任し、利用可能な資材や資料をはっきりさせたあと、行政部門と民間は会議を開き、民間組織ごとの特性に基づいて仕事を配分し、各組織間でも相互に協力し、より多くの人々のためにサービスを提供できるようにした。

 

災害奉仕を投入するきっかけ

施氏は次のように紹介している。減災とは予防の仕事、つまり防災だ。減災は通常、平時にやらなければならない作業と見なされる。例えば、救援業務などはどのように実施するか、それは防災や減災業務を行う時から構想を練って進めるべきだ。行政部門の役割が非常に重要だが、力が及ばない時は、民間組織の協力も必要だ。そのためには防災、災害防備の過程ですでに任務を分担しておくべきで、被災地のスタッフは毎日、会議を開かなければならない。被災地や住民の状況について必ず報告し、突発の緊急状況への対処は2時間以内に情報を報告する必要がある。

日本はエレベーターや公共空間に防災設備がある。台湾の民間組織は政府が視察し学ぶことを提案し、宣伝に力を入れている。施氏は「予防は本当に大切で、予防の過程では不断の訓練と宣伝が必要です」と言う。

災害防備は地域レベルで確実に実行しなければならない。「もし地域に100人いれば、50隻の救命艇を必要とする等、人数に応じた一定の割合があります。例えば発電機は各村役場に皆必ず備えておかなければならないものです。そうした設備は買う必要がありますが、どの家にもいるとは思えない。隣組、街道といった単位で備えればよいのです」と施氏は言う。彼女は災害の奉仕作業は、さまざまな人、さまざまな専門のバックグラウンドを皆投入できると考えているが、その時間と場所、方法には考えるべき問題がある。「例えば、医者は被災地に行かなければならないとは限らず、被災地の人たちが出てきたところで治療を行うことが出来ます。台湾のある物流会社は、政府の物資貯蔵場所まで行き、物流管理をします。運輸会社はトラックを提供できるが、ある一部の民政物資は非常に重い。私たちは災害発生直後には、現地が何もなくなって長距離運送をする場合を除いては、このような物資の運送を提案しません。各個人は誰でも参加できますが、参加は第一線に行くことを競いあう必要があるのかどうか、どの組織も考える必要があります」。

オーストラリアのある団体が、かって台東のある避難所にたくさんの緊急生活支援物資を贈った。しかし、すべて英字で、それは当地の住民にとって、一つの難題だった。施氏が開いてみると、中には水のろ過、防寒、消毒、照明のための設備などが入っていた。「彼らは分からなくて、むやみに使えなかったのですが、同時に水は汚れており、飲む水はないなどと言っていました。この状況で、現地の民間組織は需要の統計を作り、落ち着かせる効果、情報伝達の役割を果たすべきでした。どこかに急いで入り、マスコミにその状況を見せるのではなく。本当にサービスをしようとするなら、実際、そこで彼らと共にいることも、非常に大きな手助けです」と施氏は言った。

 

出典: 中国発展簡報 NGO新聞報道 ”救灾是不是都要抢到第一线?”

http://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/newsview.php?id=5418

 

翻訳:岡田由一

校正:松江直子

翻訳者及び校正者の所属:日中市民社会ネットワーク

 

 

This post is also available in: 簡体中国語

Facebook Twitter 微博

CATEGOLY