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災害時の救援では誰もが第一線を争うべきか(上)
写真上: 四川大地震の被災地で、台湾のボランティアが環境保護意識向上のため教育を実施。CFP
写真右: 台湾の921大地震の後、民間の救援団体はより専門的になった。CFP
2008年5月12日に四川省で発生した大地震の後、多くのNGOが被災地に次々と入っていった。これにより市民のNGOに対する認識や理解は深まり、この年は「中国NGO元年」と呼ばれるようになった。似たような状況は以前に台湾でも起こっていた。
台湾では、ボランティアの被災地における奉仕活動は、鉱山事故の救援活動から始まり、921大地震(訳注: 1999年9月21日に台湾中部を震源として発生した大地震))、512大地震(訳注: 前述の四川大地震の略称)や88水災(訳注: 2009年8月に台湾に上陸して記録的な豪雨をもたらした台風8号による災害)へとつながっている。施欣錦氏によれば、「民間団体は単なるボランティアだけではなく、災害が発生すれば必ず救援活動に参加するようになりました。最初は寄付金や人手・物資の提供から始まり、921大地震の後には機能が更に細分化され、専門的になりました」。
民間団体が政府による再建を監督
施氏がボランティアの先輩達から聞いた話によれば、20数年前に台湾の鉱山で落盤事故が発生した際、ボランティアはすでに事故現場での救助活動に参加していたが、「当時はボランティアの役割は認められておらず、921大地震の時になってから次第に認められるようになりました」。
台湾の921大地震の際、民間団体は再建のために政府と連盟を組んだ。多額の寄付金が寄せられたため、NPOがその運営の監督を行うことになったのだ。921大地震から10年後、再建事業は一段落したが、民間からの寄付金はまだ残っていたため、政府は民間による監督のもとに、残りの寄付金を民間の被災者救済のための基金へと転換した。以後、災害が発生した際には、基金による役割が市民の理解と支持を得ることができた。
512大地震の際には、台湾赤十字会が先頭に立って各方面の団体とともに「512四川大地震台湾奉仕連盟」を設立し、震災後の生活再建作業のためのハンドブックを提供した。連盟が設立一周年の総括会議を行っていた際に88水災が発生し、連盟のメンバーは災害への対応を引き続き行ったのだった。
88水災から1年後、921大地震の経験をもとに被災者のための生活再建サービスセンターを設立し、どのようなサービスを提供すればよいのか、また避難所に入った人々に対しどのような調査を行えばよいかも明確になった。当時台湾ではボランティアや社会福祉専攻の学生を大規模に動員して被災地に送り込み、1回につき5日間の滞在の前には研修が行われた。この過程においてボランティア精神が発揮され、経験や情報が継承され、一部のボランティアは後にも活動を続けていくことになるのだ。
専門の救援者の認証制度
施氏によれば、台湾で頻繁に発生する災害には台風による水災や土石流、地震や豪雨などがあるが、台北や高雄などの大都市では「下水道などのインフラが整備されているため、災害時の死亡者や負傷者は比較的少ないのです」。台湾の都市部ではインフラが比較的しっかりしているため、地球温暖化の影響下で最も災害の影響を受けやすいのは貧しい地域や都市から遠い地域だ。これらの地域で防災意識を大幅に強化する必要があり、政府に公共インフラ整備を求めるとともに、現地の市民による監督を行う必要がある。
気象情報によって災害発生が予測された場合、対策センターが設置され、モニタリング・システムからの情報がセンターにフィードバックされる。このような対策センターは通常は各地方政府の管轄下にある。得られた情報をもとに、休校や休業(出勤の取りやめ)などについての決定を行い、「一部の地方自治体では朝5時前に発表を行なっています」。この際、事前の被害防止対策やモニタリングを行い、政府の責任のもとメディアを通じて市民に知らせる。
台湾では干ばつによる災害は稀だが、貯水池で水不足が判明した場合、政府は節水を実施し、日毎に異なる地域で異なる時間に断水を行う。断水については事前に通知を行い、市民が準備できるようにしている。台湾の中南部では特にこのような対策が取られている。施氏は、台湾では多くのコミュニティで給水塔が建てられており、給水塔の管理委員会が断水前に給水塔を満たんにするため、「皆が少しずつ節水すれば、おおかた給水塔の水で断水をしのぐことができると思います」。
921大地震の後から、市民は自宅に緊急避難時の持ち出し品を入れるバッグを用意するように言われており、「万一警報が鳴った場合には、このバッグを持って避難し、重要なものは全てバッグの中に入っています。ただ、私も含めて一般の人々はまだ準備が不十分ですが、被災地で奉仕している人々の防災意識は高いと思います」と施氏は語る。
災害発生時、台湾の民間団体には救助を専門に行うものもあり、これらの団体は専門的な訓練を受けている。「平時は一般の会社員であっても、全面的な緊急救援訓練に参加し、訓練の各段階において認証を受け、救助員として登録されます。」施氏がここで言う救助とは、被災地に入って被害者を助け出すことだが、これらの救助員は必ずしも専属のスタッフではないのだ。大災害が発生し、プロの救助員が足りない場合、訓練を受けて登録されている心熱いボランティアらが専門の救助隊に加わり、チームの一員として被災地に入るのだ。「一人で被災地に入ることは避けたほうがよいと考えています」。
専門的な技能を持つ人員の一部は、災害発生直後に被災地に入る必要はない、と施氏は考えている。「救出が終わった後にも、救援のための人手は必要になります。特に現場がまだ危険な状況にある場合、後から人を送ったほうがよいことがあります。例えば私がボランティアだったら、皆が救出のために掘削などの作業を行なっているときには私は現場では役に立つことはできないので、避難所で待機していたほうがよいのです」と施氏は言う。被災地では道路が破壊されたりして一般の人は被災地に入ることが難しく、さらに専門の救助チームが作業する場所をとってしまうことになる。これは一種の妨害となってしまう。「(災害救援時に)政府は必ず軍も動員します。軍が統一して指揮をとり、私達はそれを補うのです」。施氏は、力不足の人員にとっては後方で待機していて、前線から(怪我をした)要員が送られてくるのを待つほうがよいと考えている。
(下につづく)
出典: 中国発展簡報 NGO新聞報道 ”救灾是不是都要抢到第一线?”
http://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/newsview.php?id=5418
翻訳:川口晶子
校正:棚田由紀子
翻訳者及び校正者の所属:日中市民社会ネットワーク
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