2012/10/07 by yanyan

CSnet Mail Magazine No.20

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日中市民社会ネットワーク(CSネット)メールマガジン     2012年9月号(第20号)

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【目次】

  • はじめに:「つらい1ヶ月でした」
  • 活動報告&今月のお薦めコンテンツ
  • 連載:日中間の不理解に挑む「歴史を知るということ」
  • 今月のありがとう!

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【はじめに】つらい1ヶ月でした

いままでもいろいろとありましたが、日中間の緊張がこれほど高まってしまったのは、中国の改革開放後初めてだと思います。破壊活動を伴った激しい反日デモの映像がテレビで繰り返し流され、見るたびに悲しみで心が震えました。

領土問題。国民感情を一気に負の連鎖に煽り立てる「魔物」です。領土問題は、事実も正解もないことは、冷静に考えてみれば分かることです。「固有の領土」と双方ともいうが、そもそも「固有の領土」なんてものはあるのでしょうか。中国の歴史を見れば、時代によって領土は全く違っていたのではありませんか?元の時代に遡れば、領土はたしかトルコにまで至りました。清の時代でも、今のモンゴルあたりは完全に「清国」だったと歴史で学んだ記憶があります。「古来から固有の領土」と主張するならば、モンゴルも「回収」しなければならないのでしょう。

「領土」とは、その時点での国力によって決まるものなんです。「固有」も何もありません。そもそも海も山も誰のものでもありません。人間はその恵みに活かされているにすぎません。領土というのは、「自分だけが自由に使っていい縄張り」にほかならないので、その時点で力が上回るほうが、より大きな縄張りが得られるのです。それこそ自明の理ではありませんか。それなのに、「固有の領土」ともっともらしく主張するのはやめてほしい。尖閣諸島問題は、国力が強くなった中国が、かつて弱かったときに日本の縄張りとされた島を、「雪辱」のために我が物にしようとしている、そのような性質の問題だと私は理解しています。そこにあるのは、「過去に受けた屈辱」と「現在の強い国力」および「将来的にあの島があったほうが有利」という3つの動機です。

ですから、島のことはできるだけ触れないようにするのが一番の得策だったはずです。つまり「雪辱」のきっかけを与えてはならないのです。それなのに、石原による尖閣諸島購入騒動が発端となり、日本政府が「国有化」を発表してしまいました。中国で理解される「国有化」とは、日本とは全く重みが違います。もっとずっと強硬で、有無を言わさぬ「絶対的」なもので、けんか腰に見えるのです。中国から見れば、日本側が喧嘩を仕掛けてきたので、正々堂々と「雪辱」に打って出られるのです。

しかし、あんな反日デモを仕掛けて、暴力まで許してしまったのは中国政府の大失態でした。その暴力的な行為に日本のメディアがフォーカスしすぎたのもまずかったと思います。デモもマスメディアの過剰報道も、双方において互いに対する反感を激しく増幅させるだけで、問題解決の糸口を逆につぶしてしまいます。

負の連鎖を断ち切るには、日中の民衆の良識と知恵に頼るしかありません。「反中」の空気に追随することなく、今一度、「領土」問題とはどのような問題なのか、領土のためにどこまで自分たちの生活と未来を犠牲にできるのか、中国はなぜそのような反応を示してきたのか、中国人はなぜ何かあるとすぐに熱く反日に走ってしまうのか、どうすればかつての戦争の桎梏から抜け出せるのか、愚かな武力衝突、百害あって一利なしの「隣国との争い」を避けるための智惠はないのだろうか。。。本気でかつ冷静に考えなければなりません。そして右傾化が指摘されている日本の現在の政治勢力に対して、注意深く、慎重に監視していかなければなりません。

気がつくといつの間に「戦争せざるを得なくなった」、そんな巨大な不幸に巻き込まれないためにも、きちんと目を見張り、自分の頭で考えなければなりません。決定権を、安易に委ねてはならないのです。そう思いませんか?

(やんやん)

 

【CSネットの活動報告と今月のお薦めコンテンツ】

★東アジア環境交流プロジェクトは、10月に雲南省で予定していた交流フォーラムの準備を進めましたが、現在の日中間の情勢を鑑みて、フォーラムの延期を決めました。詳細については、決まり次第またご報告します。大変残念ですが、実施できる日が来ることを確信し、心待ちにしております。

★9月25日から27日まで、CSネットはシニアホームと高齢者サービスの見学ツアーをプロデュースし、実施しました。現在の情勢にもかかわらず、見学を実現に導いた中国側のコーディネーターに感謝したい。当初33名の予定が17名になったものの、大変充実した、満足度の高いプログラムとなりました。

★9月19日に、CSネットフレンズ×エコネットワークスのジョイントミーティングを行いました。「文化の垣根を越えて働く」をテーマに、熱い討論が繰り広げられました!日本と中国のさまざまな文化的な、国民性的な違いが話題になりました。このように腹を割って話し合える場をもっともっと増やしていきたいと思います。

 

9月はサイト上では12本の記事を更新しました。

★GGF災害コラム:JICAによる四川大地震復興支援プロジェクト

http://csnet.asia/archives/10046

★交流プロジェクト報告:『湖湘地理』特集――知日派白書(LEAD and Beyond訪日活動報道特集)

http://csnet.asia/archives/10253(大地を守る会)

http://csnet.asia/archives/10262(大地を守る会その2)

http://csnet.asia/archives/10486(くりこま高原自然学校)

★インタビュー:「自然之友」副代表張赫赫

http://csnet.asia/archives/10290

★お薦め事例:ロデオ阻止に向けた戦い

http://csnet.asia/archives/10267

★お薦め事例:地下鉄で本の読み聞かせ?勇気ある大学生たちの移動図書館「快楽小陶子」

http://csnet.asia/archives/10273

★お薦め事例:就活大学生を応援 夢の「宿場」

http://csnet.asia/archives/10285

★寄稿:北京市民のエコライフを応援する施設の紹介(松江直子)

http://csnet.asia/archives/10299

★情報ボランティアによるエッセイのシリーズ:宮崎いずみさんの中国中小都市の話

http://csnet.asia/archives/10312

 

【連載:日中間の不理解に挑む】「歴史を知るということ」

 今月は、CSネット事務局棚田によるエッセイです。

9月に中国全土を覆った反日デモの嵐は、今ではかなり沈静化しました。しかし、いつまた吹き荒れるかもしれないという漠然とした不安を感じている日本人は少なくないと思います。では、この漠然とした不安は、いったいどこから生まれてくるのでしょうか。

 不安は、しばしば「相手を知らない」ことから生じます。「何を考えているのか分からない」「次に何をしでかすんだ?」等々、分からないものに対して人は不安や猜疑心を抱く傾向があります。今回の反日デモの際も「歴史を忘れるな」というスローガンが叫ばれていましたが、果たして日本人の中で、日中間の歴史上(特に現代史)の出来事やその背景をしっかりと理解している人がどれだけいるでしょう。そもそも、学校でどこまで教えているでしょう。

 残念ながら、学校で現代史についてしっかりと教えているかどうかは怪しいと言わざるをえません。満州事変(柳条湖事件)や盧溝橋事件、日中戦争について、名前は知っているがその背景はよく知らないという人は多いと思います。かく言う私もその一人で、今回の一連の事件をきっかけに改めて勉強しているところなので、偉そうに言えないのですが・・・。

 現代史、特にアジア関係の現代史は非常にデリケートな問題を含んでいるからでしょうか、教える側の先生も大変気を遣うようです。私の中学時代や高校時代の歴史の授業は、たいてい大正時代あたりで授業コマ数が足りなくなり、「後は自分で教科書を読んでおくように」という先生の一言で済まされていた記憶があります。また、高校入試や大学入試でも現代史はあまり出題されません。学校で学ぶのは試験にパスするため、となっている現在の学校教育では、試験に出ない事柄に対しては注力しないので、積極的に知ろう、覚えようとはなかなかしないでしょう。その結果、中国や韓国が歴史を持ち出してきても、「どういう背景でどういうことが起こったのか」をよく知らないため、徒に不安や猜疑心を抱いてしまうのかもしれません。

 学校教育のシステムが一朝一夕で変わるわけではありませんし、歴史認識がそれぞれの立場によって全く異なる場合も多々あります。それでもなお、現代史を積極的に学ぼう知ろうとする姿勢の大切さを、今一度見直す必要があるのではないでしょうか。

 ところで、中国では日本という国をどのように教えているのか、ぜひ知りたいのですが、何かいい方法はありませんか?教科書とか、手に入らないのかな・・・??

(棚田由紀子)

 

【9月の“ありがとう!”】

今月もサイトの更新は翻訳ボランティアの皆様のご協力によって無事進められました。日頃の感謝をいっぱいいっぱい込めて、ここで「ありがとう!」をお伝えしたいと思います。

黄淑珺様、陸依柳様、呉昊様、張玉梅様、呉雪遠様、王愛清様、張雨晴様、松江直子様、西口友紀子様、宮崎いずみ様。

ありがとうございました!!

 

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※このメールマガジンの転載を歓迎します。ご転載、ご引用の際は、日中市民社会ネットワーク(CSネット)からの転載であることをご明示ください。

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