2012/08/05 by yanyan

CSnet Mail Magazine No.18

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日中市民社会ネットワーク(CSネット)メールマガジン   20127月号(第18号)

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【目次】

  • はじめに:「ナショナリズムという魔物・・・だけど信じたい」
  • 事務局メンバー交代のお知らせ
  • イベント報告:「中国初の環境NGO自然之友副代表 張赫赫氏 来日記念講演」報告
  • CSネット活動報告&今月のお薦めコンテンツ
  • 連載:日中間の不理解に挑む「南通市の市民デモを考える」
  • 今月のありがとう!

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【はじめに】ナショナリズムという魔物・・・だけど信じたい

CSネットは「顔が見える」日中関係にこだわり、密度の高い草の根交流プロジェクトにありったけのエネルギーを注ぎ込んでいるのは、来日してくれる中国の友人たちの反応がうれしくてたまらないからです。たとえ来日前は日本に反感を持っていた人でも、私たちの視察研修プログラムを通して、日本のこと、日本人のことが「ぐっと近く」に感じられるようになり、日本が好きになったりします。その時は、心底うれしくなります。

しかし、ときどき空しく感じます。言論NPOによる日中意識調査の最新データが公表されました。中国に対してよくない印象を持っている日本人はついに84.3%に達し、調査が始まって8年、基本的に悪化の一途をたどってきたと言えます(ちなみに日本に対してよくない印象を持っている中国人は、ずっと変わらず6割程度です)。尖閣諸島問題によって煽られた中国のナショナリズムの激化とそれに対する日本人の嫌悪感が、マグマのように不気味に蠢いています。

こんな状況でも、「日中間に領土問題は存在しない」と一点張りの日本政府。その一点張り戦略がなにか有益な結果を生み出してくれるのでしょうか。確かに中国の反日教育のせいにすることもできましょう。実際、反日教育の効果の高さは侮れません。在日18年で日本を「家」だと思っている私でさえ、オリンピック会場で頭に国旗柄の鉢巻き、手に国旗の扇子、体も国旗をまとっている日本応援団の姿をテレビで見ると、妙に息が苦しくなり、吐き気がしてきます。日の丸の旗は、中国人にとって条件反射的にそのような感情を引き起こすものなのです。だが反面、80年代から90年代の後半に至るまで、中国で多くの日本ファンが生まれたのも確かです。日本人の日常、人情、感情が伝わるようなドラマが多く放映され、質の高い日本製品が人々の憧れでした。そこから何が変わったのでしょうか?変わってしまったのはすべて中国側の責任なのでしょうか?日本の政治家と官僚、そして経済界の対中戦略の貧しさや、中国の激しい成長に対して「ちぇっ、面白くない」と思う大衆心理による影響はなかったでしょうか。

ナショナリズムという悲しき魔物を前に、私たちなどは一気に吹き飛ばされる塵のような微々たる存在かもしれません。だが、同時に心から信じたいと思います。私たちのプログラムに参加して帰国した中国の友人たちは、尖閣諸島問題を巡って周りの全員が日本を罵る中でも、東京の美しい記憶を胸に抱き続けていることを。

二歳になったCSネット、今後ともどうぞよろしくお願いします!

(やんやん)

 

【事務局メンバー交代のお知らせ】

長い間尽力してくださった松江直子さんは事務局スタッフを卒業し、ボランティアとして今後もCSネットの活動に参加してくれることになりました。松江さん、北海道並みの大きな「ありがとう!」を言わせてください(日本では「大きい」と言ったら北海道!)。

松江さんの後任として、大阪在住の棚田由紀子さんが事務局に加わってくださいました!棚田発のCSネットも是非お楽しみください。

 

【イベント報告】「環境NGOのフロンティアとして――中国初の環境NGO自然之友副代表 張赫赫氏 来日記念講演」を実施しました!

日中市民社会ネットワークは7月22日(日)、東京都・西日暮里の日本エコツーリズムセンター2階会 議室で、中国初の環境NGO「自然之友」副代表・張赫赫さんの講演会を開いた。これは5月に発足した専門チームの活動第1弾となる。チームメンバーや、日 本各地で活動する環境活動家ら約20人が参加した。参加者たちは3時間に及ぶ講演時間の最後まで熱心にペンを走らせ、中国のNGO活動の状況やNGOと企 業の距離などについて、積極的な質問が相次いだ。

記念すべき第1回目の講演として最も大きな収穫は、張副代表の話す「自然之友」の理念、活動の軌跡、現在の取り組みを通して、中国NGO全体の歴史 的流れや現在の様子が参加者に伝わったことだろう。「自然之友」の設立は1993年。中国NGOのパイオニア的存在であり、その活動は中国NGOのモデル と言える。

張副代表はまず、設立当初の「キンシコウ(孫悟空のモデルになった猿)」「チベットカモシカ」の保護を訴える活動などを取り上げた、人々の注意を喚起する啓 蒙・キャンペーン中心の活動について説明した。続いてその後の取り組みとして、環境に影響のある政府の施策に初の周辺住民込みでの公聴会を開いた円明園の 工事の例や、発電のための大型ダム建設に対して消費側のスタイルを変えていこうと、エアコン設定を26度にする全国運動を展開したことなどを説明。「戦略的アピール」と、「問題提起に止まらず、いかに代替案を示すか」を特徴とした、中国の市民社会運動を紹介した。

印象深かったのは、「自然之友」の徹底した「草の根」主義だ。現在の課題は、いかに市民の参加を得て実際の変化を起こすかだという。張副代表はこれ からの仕事内容として、都市人口の増加に対応したゴミ問題、持続可能な交通、エコ住宅の推進の3つを挙げた。ポイント制を導入して、住民が進んで家庭ゴミ の分別に参加するようにしたり、自転車利用の促進・ニーズの把握のために、市民から意見や情報を集めて公開するサイトの設置を政府と交渉するなど、常に 「誰でも身の回りのことから参加できる」活動を原則として、活動している。

講演後のフリー質問の時間には、企業とNGOのかかわり方などに鋭い質問が集中。企業・政府とのかかわり方は、日中のNGO共通のテーマであると の、共通認識が生まれた。張副代表も「日本の経験を知りたい」と話し、この分野での情報収集や情報交換ニーズがあることも分かり、今後のCSネットの課題 の一つになった。

執筆:立花 裕子 CSネット専門チームメンバー

http://csnet.asia/archives/9780

 

【CSネットの活動報告と今月のお薦めコンテンツ】

★屋久島プロジェクトは、6月24日から7月1日まで、白馬雪山スタディプログラムを実施しました。今月は3本の関連記事を掲載しました!

http://csnet.asia/archives/9681(好事魔多し)

http://csnet.asia/archives/9941(専門家提言Ⅰ)

http://csnet.asia/archives/9943(専門家提言Ⅱ)

★(株)日立ソリューションズのプロボノチームによるCSネットのサイト大改造計画は、7月に中間提案の段階に入りました。とても楽しみです!

★7月22日、日本エコツーリズムセンターでCSフレンズ第1回公開イベントを開催しました。詳細は上記の【イベント報告】を参照してください。専門チームに興味のある方は、是非info@csnet.asiaにご連絡ください。

 

7月はサイト上では19本の記事を更新しました。

★GGF災害コラム:中国のNGOが被災地でどのように再建活動に携わっているのか?「コミュニティ・アクション」の事例

http://csnet.asia/archives/9807

★交流プロジェクト報告:『湖湘地理』特集――知日派白書(LEAD and Beyond訪日活動報道特集)

http://csnet.asia/archives/9834

http://csnet.asia/archives/9841

http://csnet.asia/archives/9859

http://csnet.asia/archives/9868

★中国のNGOメディア人による福島レポート――「放射線の陰の下で」

http://csnet.asia/archives/9761

★農村で公共生活を再建――中国の改革開放の聖地での新たな挑戦

http://csnet.asia/archives/9579

★情報ボランティア宮崎いずみシリーズ――「固県から見る中国(4)」中国の農村はいまどんな生活をしている?その一例をご覧ください。

http://csnet.asia/archives/9894

皆様、どうぞhttp://csnet.asia をよろしくお願いします。

 

【連載:日中間の不理解に挑む】「南通市の市民デモを考える」

日本でもテレビ報道で取り上げられましたが、2012年7月28日、江蘇省南通市で、日本の王子製紙と地元政府が合意し進めようとした配水管工事に、地元住民5000人以上が抗議デモに参加し、工事の白紙撤回を勝ち取りました。

日本の報道では、デモの暴力性、そして地元政府の妥協がクローズアップされましたが、ちょっと違う観点から考える必要があるのではないでしょうか?

中国の環境問題について多くの日本人は眉を顰めています。二酸化炭素排出一位、黄砂が日本まで飛んでくる・・・中国側が貪欲に富を求めるために環境を破壊し、その被害を日本が、そして世界が受けているという発想が大半を占めるように見えます。しかし、「環境を破壊しているのはだれか」という問題は、そもそも「国」単位で考えるべき問題ではありません。開発と経済への追求は、どこの国だろうと常に環境への脅威となります。日本では公害問題は「歴史上の一時期に起きた過去の問題」のように扱われたりしますが、公害問題は決して過ぎ去った過去ではなく、また日本一国単位で考えられる問題ではありません。日本企業が海外で活動する際に、公害を現地にもたらしているのかどうか、日本の市民たちはどの程度関心を持っているのでしょうか。汚染企業と長年戦ってきた日本の市民グループはどの程度注目しているのでしょうか?

尖閣諸島問題で反日感情が高まっている中、南通市で発生したデモはさらに人々を激高させ、「王子製紙の製品を未来永劫使わない!荷物をまとめて日本に帰れ!」という書き込みがネット上に溢れました。汚染と戦う人々の運動が「反日運動」につながってしまうのは、日中関係にとっては不幸な出来事としか言いようがありません。環境関連のフォーラムやシンポジウムで、中国の環境問題に日本側がしばしば「先進的」な提案をしていこうと呼びかける主張が多い。しかしそれより先に、中国の環境NGOや市民たちの活動、彼らが提起している問題に、日本の市民グループも関心を持ち、国境を超えて汚染問題にともに取り組んでいくべきなのではないでしょうか?(やんやん)

 

【7月の“ありがとう!”】

今月もサイトの更新は翻訳ボランティアの皆様のご協力によって無事進められました。日頃の感謝をいっぱいいっぱい込めて、ここで「ありがとう!」をお伝えしたいと思います。

岡田由一様、川口晶子様、西口友紀子様、松江直子様、三浦祐介様、三津間由佳様、宮崎いずみ様、黄淑珺様、陸依柳様、呉雪遠様、金暁輝様、張玉梅様、呉昊様、王潔麗様、王愛清様

ありがとうございました!!

 

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※このメールマガジンの転載を歓迎します。ご転載、ご引用の際は、日中市民社会ネットワーク(CSネット)からの転載であることをご明示ください。

※このメールマガジン(月末もしくは翌月初め発行)は、CSネットのスタッフ(李妍、朱恵文、棚田由紀子、季新、李君暉、于瑾、廖芳芳松江直子)と縁のある方々、CSネットおよび前身であるGLI東京事務所の活動に関わった方々に配信しております。現在の配信対象者は日本では600名ほど、中国では400名ほどです。配信がご不要の方は、info@csnet.asiaにご連絡ください。

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